2018年11月25日日曜日

脱石炭、脱炭素の本当の意味

 フランスでは、自動車の燃料税増税に反対して大規模な反政府デモが起こっています。

 ドイツでは、脱瀝青炭(普通、石炭といえばこちら)が今年(2018年)末で実現される予定です。さらに現在、脱褐炭(低品位の石炭)に向けても協議が続いています。脱褐炭する時期は、来年決定されると思います。またドイツでは、ディーゼル車の窒素酸化物排出問題で、一部の都市において裁判によって一部ディーゼル車の走行が禁止されました。

 ここで問題になっているのは、温室効果ガスによって温暖化が加速していることです。温暖化をストップさせないと、将来居住できない地域が出てくるなど、環境上、社会上、大きな問題が起こることが予想されます。

 温室効果ガスでは、二酸化炭素が温暖化の大きな要因になります。

 そのため、各国は燃料や排出される二酸化炭素に課税して、二酸化炭素の排出量を減らそうとしています。最終的には、二酸化炭素を排出しないようにするため、脱石炭や脱炭素することを目的にしています。

 ただぼくは、これは二酸化炭素を出さないという単なる結果論にすぎず、その原因となる問題を解決するほうが、根本的な問題解決になるのではないかと思います。

 石炭やガソリンといわれる化石燃料の中には、化学エネルギーがあります。石炭は、それを燃焼させることで化学エネルギーを熱エネルギーに変え、熱エネルギーで水を気化させて運動エネルギーに変換します。たとえば運動エネルギーで発電機を回せば、発電できます。これが、蒸気機関です。

 ガソリンは点火プラグを点火させてガソリンを爆発させることで、化学エネルギーを運動エネルギーに変えてピストンを動かします。これが、車を動かす原理です。これを、内燃機関といいます。

 石炭やガソリンにある化学エネルギーを熱エネルギーや運動エネルギーに変換させる時、二酸化炭素が排出されます。それは、石炭やガソリンなどの化石燃料の元である生物には、水と二酸化炭素が光エネルギーによって化学結合して、化学エネルギーが蓄えられていたからです。この反応のことを光合成というのは、中学校の理科の時間に習いました。

 こうして見ると、二酸化炭素は化学エネルギー変換のプロセスにおいて循環しているだけではないでしょうか。排出された二酸化炭素が再び生物に吸収されて、化学エネルギーが生物の中に蓄えられれば、二酸化炭素は再び生物の中に取り込まれます。

 この状態では、二酸化炭素は増えません。これを、カーボンニュートラルといいます。

 でも今、排出された二酸化炭素を吸収するだけの生物が十分にはありません。それは、化学エネルギーを蓄えていた石炭やガソリンが遠い過去に成長した生物を起源としているからです。過去に蓄積されていた二酸化炭素を吸収するだけの生物が今ないのは、当然の話です。

 そうなると、問題はむしろ二酸化炭素ではなく、過去の遺物である石炭やガソリンを使う技術にあるのではないでしょうか。つまり、過去に蓄積された化学エネルギーを蒸気機関と内燃機関で使うことに問題があるのです。この技術は、18世紀後半に起こった産業革命によって発明されました。

 蒸気機関と内燃機関において、カーボンニュートラルが確保できるのであれば問題ありません。蒸気機関では、太陽熱発電とバイオマス発電、内燃機関ではバイオガス発電がこれに相当します。それ以外の場合、蒸気機関や内燃機関を使うべきではありません。そうしない限り、温暖化を止める方法はないのではないかと思います。

 ぼくには、脱蒸気機関や脱内燃機関、あるいはむしろ脱産業革命といったほうが適切なように思います。産業革命から続いた産業時代に、一つの終止符が打たれようとしているのだと思います。

 それは、原子力発電にもいえることです。原子力発電も石炭火力発電と同じように、蒸気機関を利用しているからです。となると、原子力発電が温暖化対策になるという論理はおかしくないですか。

まさお

2018年11月18日日曜日

電気自動車へ移行させるのはいいけれど

 ドイツの自動車メーカー最大手のフォルクスヴァーゲン社は、自動車を電気自動車に切り替えるため、2023年までに300億ユーロ(約4兆円に相当)投資すると発表しました。2025年までに電気自動車を、現在の6車種から50車種以上にする計画です。

 その他、無人自動車や自動車のデジタル化などに140億ユーロ(2兆円弱に相当)投資するとしています。

 電気自動車化に向け、大胆なリストラを行うことになります。電気自動車の製造では部品数が激減するだけに、従業員が大幅に解雇されるのがたいへん気になります。しかし、同社は解雇するのではなく、新規採用を抑えて定年退職者が退社していくことで人員削減するとしています。

 まあ、ようやくかという気がしないでもありません。

 ドイツ政府が電気自動車化を国家戦略としていることがわかっていても、なかなか電気自動車化に乗り出せなかったドイツの自動車業界です。そのため、電気自動車の開発が遅れ、それに必要な蓄電池の製造工場さえドイツにはありません。

 そのため、蓄電池の製造では韓国や中国のメーカーと提携せざるを得なくなっています。フォルクスヴァーゲン社にとって、中国はたいへん重要な市場。中国ではこれまで通り、現地生産化を目指すとしています。

 日本のメーカーが挙がってこないのは、日本が遅れているからです。

 でもね、電気自動車化をいうだけでは意味がないんですよ。

 第8章⎡交通の未来⎦の⎡自動車メーカーが沈黙しているのは不思議⎦でいっているように、電気自動車は再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を使わないと意味がありません。

 ドイツでは、発電における再生可能エネルギーの割合が40%近くになったとはいえ、交通に電力を供給するには再生可能エネルギー化がもっと進まなければなりません。このままでは、火力発電や原子力発電された電力で電気自動車を走させることになりかねません。

 その意味で、フォルクスヴァーゲン社には電気自動車は再生可能エネルギーで走るものというしっかりした哲学を持ってほしかったのですがね。それが、再生可能エネルギーを促進させるインパクトにもなります。でも、それがありません。

 それが、将来に対する企業責任だと思うのですけどね。

まさお

2018年11月11日日曜日

地方交通をどう維持するのか?

 生活する上で大切なのは、地元で移動するための足です。ただ、人口の少ない地域ほど、利用客が少ないので、公共交通でもやっていけません。そうなると、自家用車に頼らざるを得なくなります。あるいは、人口がさらに減って過疎化します。

 大都市では家賃が上がる一方なので、郊外で生活して、時間をかけて通勤しなければならなくなります。都市に向かう公共交通は混雑し、通勤に自家用車を使えば、大都市では渋滞が起こります。通勤による疲労も増大します。

 過疎化や交通渋滞、それに伴う公害の問題は、社会構造や交通整備の問題とも密接に関係しています。さらに、これらの問題はエネルギー消費にも影響を与えます。

 交通の問題では、憲法で保障されている平等と公平さをどう実現するかもとても大切な課題です。過疎であっても、市民が移動できる公共交通をどう提供するのか。都市と過疎地で、移動するのに大きな格差があってはなりません。

 そのため、地方自治体などが地元の公共交通を維持するために補助金を出したりしています。それで運用されているのが、たとえば日本の第三セクターです。

 新幹線のような長距離鉄道は、経営が楽です。むしろ、地元の中近距離交通をどう整備して、魅力ある交通システムを提供していくのか。それが、地方を活性化させるポイントでもあります。地方においても、市民が自家用車ではなく公共交通を使えば、省エネ効果も高まります。

 単に公共交通を公営化しても、赤字経営になるのは過去の経験からわかります。公共交通にどう競争の原理をもたらし、効率と質を改善するのか。それが、大都市集中化を緩和する上でも、とても重要な課題になっています。

 たとえば、ドイツの首都ベルリンでは今、これまでドイツ鉄道の子会社によって運用されてきた都市鉄道交通(Sバーン)をどう改善するかが、大きな問題になっています。ドイツ鉄道のコスト削減戦略で車両のメンテナンスが不十分となって認可が下りず、使うことができなくなりまりました。そのために、長い間車両を走らせずにメンテナンスしていたことがあります。それで車両不足になり、運休を避けるため、混雑するのを覚悟で短い編成で走らせていました。

 そこで考え出されたのが、機関車、車両など輸送に必要なハードウェアを自治体が税金で購入し、そのメンテナンスと運転する会社を別々に入札で選ぶという方法です。こういう手法は、すでにドイツ北西部の二ーダーザクセン州で90年代に導入されています。それによって、単に補助金を出すよりも、サービスの向上ばかりでなく、コスト削減効果も生まれていることがわかっています。

 税金で車両を購入するということは、車両が公共所有ということになるので、平等性、連帯性も高まります。

 大都市集中化を防ぎ、地方分散化を進める上でも、公共交通の整備、拡充が大切です。全体として見ると、それが大都市での公害を軽減し、省エネ効果をもたらします。また、地方分散化で長時間通勤する必要がなくなれば、生活環境も向上します。

まさお