2018年8月26日日曜日

エネルギーの技術革新遅れていいの?

 ぼくは7月29日にアップしたブログ記事「日本のエネルギー基本計画は、自殺行為だ」で、既存の電力システムを温存しようとする日本の政策を厳しく批判しました。

 それは、これまでの大規模設備、中央集中型の電力システムでは、将来のエネルギー供給に対応できなくなり、高い電気料金を受け入れざるを得ない日本が世界から取り残されていく心配があるからでした。

 そればかりではありません。

 再エネへのエネルギー転換のために、各国は今、新しい技術開発で競い合っています。ただ新しい技術というのは、それほど正しくないかもしれません。というのは、既存の技術で十分だからです。それをエネルギー供給システムにマッチングさせればいいだけになっています。

 ドイツでは、送電網を安定させるため、送電会社がその中央監視室からボタンひとつで発電設備を送電網から切り離す(解列)ことができます。数年前日本にいた時には、日本ではそれを電話でやっているということを聞きました。それも、実際に切り離す数日前に連絡しなければならないということでした(本文「日本の電力供給システムは遅れている」参照)。

 ぼくは、唖然としました。技術国日本で石器時代のようなことをしていることが理解できませんでした。エネルギー供給システムをデジタル化して、ネットワーク化すれば何でもないことです。その技術は、日本にもあります。この分野では、日本の技術の方がドイツよりも優れているのではないでしょうか。

 それでいて、なぜその技術を使えないのでしょうか。

 それは、既得権益を守るために、既存の電力システムを維持しようとしているからにすぎません。そのために、日本の技術革新力と国際競争力を強化することが、二の次になっています。

 ドイツでは今、再エネのデジタル化、システム化に関する技術が盛んに開発されています。それは再エネの発電量に占める割合が30%を超えて、システム化の需要が増えてきたからです。さらに、技術を実情に合わせて試験できる条件が整ってきたからです。

 ドイツは、第四次産業革命の技術ともいわれ、ものつくりのデジタル化をめざす「インタストリー4.0」とエネルギーのデジタル化を組みわせていく予定です(本文「アクティブな地産地消で余剰電力を消費」参照)。

 現在、昨日サイトにアップした記事「エネルギーとデジタル化」でも述べたように、エネルギーのデジタル化においてビットコインの中核技術であるブロックチェーンがとても重要な技術になるとされています。さらに、エネルギーと「インタストリー4.0」を組み合わせることで、人工知能(AI)の適応範囲がエネルギー供給からものつくりにまで広がります。産業全体の流れが人工知能(AI)によってネットワーク化されるということです。

 ドイツ政府は、人工知能(AI)を今後の国家戦略にします。今の状況をみると、その意図がよくわかります。

 さて、日本はどうするのでしょうか。

まさお

2018年8月19日日曜日

エネルギーを肌で感じる

 エネルギーとは、何でしょうか?

 ぼくは、9章の「エネルギー源は暮らしの中にある」で、「自分の身の回りで里山や里海を見つける」のが大切だと書きました。

 ぼくたちは、光エネルギー(太陽の光)や運動エネルギー(風や川の水)、熱エネルギー(火力、原子力)を電気エネルギーに換えることによって電気を得ています。熱エネルギーを得るための燃料(石炭)は、化学エネルギー(光合成)によってできたものです。

 電気自動車は、電気を運動エネルギーに換えて車を走らせます。自転車は、ペダルを踏んで足の運動エネルギーをチェーンでタイヤに伝えているから走ります。

 こうして見ると、エネルギーというのは中学校で学んだ理科で十分理解できるものです。生活に密着していて、身の回りで使っているものだと感じます。

 これをもっと可視化させて、ゲームをしながらエネルギーを肌で体験する。それが、ドイツ北西部のアウリヒという町にある「エネルギー学習体験センター(EEZ)」のコンセプトではないかと思います。

 設置、運用しているのは、風力発電設備の大手製造メーカ「エネルコン(Enercon)」です。

 最初に、インストラクターがセンターでの遊び方を簡単に説明してくれます。その後、一人一人がエネルギーゲームに挑戦します。一通りやってみるには、3時間ほどかかります。

 最初に小さなステッィクのようなものを渡され、それをゲームをする装置に差し込んで、ゲームで得たポイントを集めます。最後に集計装置にステイックを差し込んで、集めたポイントを見ます。発行キーを押しておくと、出口のカウンターで成績表をプリントアウトしてくれます。

 ぼくは先日、NPO法人アースウォーカズの独日交流プロジェクトで福島県からドイツにきていた高校生9人と一緒にこのセンターにいってきました。

 LEDランプの光だけで、モデル自動車の屋根に取り付けられた太陽電池で発電させ、モデル自動車を動かすゲームがありました。光の角度によっては、モデルはまったく動きません。風で風船を動かして、輪型になったルートを一周させるだけのゲームもあります。風が適切になるように、レバーで風量を調整しなければなりません。滑車を回して木のボールを上に上げ、ボールを設置されたレールの上をころがすゲームもありました。

 そうかと思うと、火力発電所や原子力発電所を太陽光発電や風力発電に替えるには、画面上どの場所に移すのが適切か探し出すゲースもありました。適切な場所を見つけ出すと、どれくらいの発電容量に代わるのかも教えてくれます。画面上で適切な場所を探すのが、とても難しいゲームでした。

 エネルギー変換の関係を結びつけるゲームもあります。光エネルギーを運動エネルギーに換えるものは何か、化学エネルギーに換えるものは何かなど、その関係を見つけます。

 こうして、ゲーム毎に点数を集めます。難しいゲームも、簡単なゲームもあります。どうしていいのかわからなくても、とにかくやってみる。エネルギーとはどういうものなのか、エネルギーのことをもっと知る。それを実際に体験してみます。

 エネルギーが生活に密着したものであることを、肌で感じます。

 子どもも大人も楽しめるエネルギーゲーム。福島県の高校生からは、難しくてよくわからないという声もありました。でも、遊びながらエネルギーに接することができるのはとても大切です。こうした施設がもっとあればいいなと思います。

まさお

EEZサイト:www.eez-aurich.de

2018年8月5日日曜日

交通政策を下から変える

 都市を自動車交通によって窒息させてはならない。

 これが、ベルリンで起こった「Changing Cites」運動のモットーです。運動の中心は、若い世代です。

 公共空間は一体誰のものなのか。公共空間は、自動車や経済活動のためのものではありません。市民は、それに甘んじていてもいけません。市民は、公共空間を市民のものにするために立ち上がるべきだというのが、運動する若い人たちの考えです。

 スマートシティ化。それが、運動の目指すものです。市民が平等に、民主主義的に公共空間を利用できる都市。都市のインフラ整備についても、市民のためのものなのか、市民が監視していかなければなりません。

 そのためには、交通政策の転換も必要です。本来であれば、市民のための交通政策でなければなりません。最近のトレンドである自転車専用道路や交通手段のシェア化だけでは、交通は市民のものになりません。こどもが道路を安全に利用できる権利も守らなければなりません。

 経済を目的とした広告が、都市から撤廃されることも望んでいます。

 こうした市民の都市に対する希望を実現するほか、都市開発において市民側から問題を提起します。そのために住民投票を行って、政治に圧力をかけることもあります。

 また、同じ考えを持つ市民をネットワーク化します。

 「Changing Cites」運動はこうすることによって、道路などの公共空間を市民の対話の場となることを望んでいます。それが、地元の経済力を促進し、都市生活の質を向上させることにもつながります。

 ベルリンではじまった運動は、ドイツ各地に広がっていきました。

 こうした運動が、日本でも起こってほしいと思います。

まさお

参考記事:「バイバイ自動車中心社会