2018年6月18日月曜日

エネルギー相談室は何をするのか?

 ブログでは前回、各地にエネルギー相談室を設置すべきだと書きました。

 それでは、エネルギー相談室は具体的にどういうことをするのでしょうか?

 個人向けには、たとえばソーラーパネルを設置する場合の相談窓口になります。

⁃ 屋根の強度の問題
⁃ ソーラーパネルの種類
⁃ だいたい必要な予算
⁃ 助成金をもらえる条件
⁃ 固定価格買い取り制度で発電した電気を電力会社に買い取ってもらう条件や手続き

などについて情報を提供します。

 また、その他、ソーラー温水器を設置する場合、蓄電池も一緒に装備したい場合にもアドバイスします。また、住宅の断熱効果を上げるためのアドバイス、さらには家庭で省エネする可能性についてもアドバイスします。

 中小企業の場合たとえば、

⁃ ソーラーパネルをつける場合に助成金をもらえる可能性があるのかどうか、
⁃ 企業内で省エネを実現するためにはどうすべきなのか

などについてアドバイスします。

 また、再生可能エネルギーや省エネに関して情報提供するほか、再生可能
エネルギー化、省エネ化を推進するインセンティブを与えるために、ワークショップやセミナーなども開催します。

 こうして、各地域においてエネルギーに関する意識を高めていくのもたいへん大切な課題です。

 こうしたことが、エネルギー相談室が行うべき事例だと思います。

まさお

2018年6月13日水曜日

再生可能エネルギーで発電された電気は、信用できるのか?

再生可能エネルギーQ&A

 電力会社の帳簿上で区別するといっても、電気が再生可能エネルギーで発電されたことはどうしてわかるのでしょうか。それがはっきりしないと、消費者として信用できません。

 たとえば大規模水力発電は自然エネルギーですが、再生可能エネルギーでないことはすでに説明しました。

 そのためにはまず、再生可能エネルギーで発電する設備だということを認定する制度が必要になります。認定された設備で発電された電気でない限り、再生可能エネルギーで発電された電気だと認めません。

 認定制度は、国の機関あるいは第三者の認定機関が行なうべきです。

 次に、認定を受けた設備から送電網に送られた電気量を把握することも必要になります。できればこれをすべてデジタル化して、その電気量を中央で自動登録できる制度をつくりたいところです。

 ここまでは、行政側の問題です。

 もう一つ消費者の信頼を得るのに大切なのは、電力会社において帳簿で管理されている再生可能エネルギー電気の発電量、買電量、供給・販売量を第三者機関によって、それが正しく把握、記録されているかどうかを認証する制度です。

 ドイツでは、環境団体などがそうした第三者機関を設立しました。認証は、電力会社毎ではなく、電力商品単位で行います。再生可能エネルギーで発電された電気でも、電力商品によってその品質に差があるからです。

 ドイツでは、「グリーン電力ラベル」など再生可能エネルギーで発電された電力商品であることを認証するラベルが発行されています。

 ここでも、まだ年間全体の電気量で認証されているにすぎません。ただドイツにはすでに、量的に15分単位で再生可能エネルギーで発電された電気だけを供給することを目指している電気販売事業者も出てきています。

2018年6月10日日曜日

各地にエネルギー相談室を!

 ぼくは、これまでドイツのシュタットヴェルケについて何回か報告してきました。

 シュタットヴェルケは基本的に、自治体の公営会社として電気、熱、ガス、水道などを供給する公益事業を行なっています。都市鉄道、バス、トラム、地下鉄などの公共交通事業も一緒に行なっているシュタットヴェルケもあります。

 ただ、90年代に自治体の財政難で、民営化されてしまったところも結構あります。

 そのシュタットヴェルケが、日本でも注目を集めているといいます。再生可能エネルギーによってエネルギー転換する手段として注目されているようです。

 ここで、注意しないといけないのは、単に電気を供給するだけのシュタットヴェルケでは機能しないということです。ドイツでも、大都市の大きなシュタットヴェルケは、一般家庭と産業向けの電気と熱の供給を行なっています。そのほうが、効率よくエネルギーを利用できるからで、地域で効率よくエネルギーを利用するためのシステム開発もシュタットヴェルケの重要な役割になっています。

 地域によっては、再生可能エネルギー化のためにシュタットヴェルケへの住民参加を促進しているところもあります。

 実は、日本でもドイツのシュタットヴェルケのような自治体エネルギー公社がありました。でも日本では、電力市場が大手電力9社によって地域毎に棲み分けされてしまいました。ドイツの場合は、大手電力が発電と高圧送電を行い、シュタットヴェルケが地元での発電と配電を行なうことで棲み分けされていました。それが、シュタットヴェルケが残った要因だと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケで一番重要な点は、独自に発電しているというよりも、配電網、地域熱源供給網、ガス配管網を持って生活の一番近いところでエネルギーを供給する役割を果たしていることだと思います。それ故に、ドイツの住民はどのエネルギーを選択するのか、大手電力の経済権力に強制されることなく、自分の判断で使うエネルギーを決定することができます。その点で、シュタットヴェルケがとても重要な役割を果たしてきたと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケが日本で注目されているのは、歓迎すべきことだと思います。でもそれが、日本でも実現できるか、またはすべきかについて議論するのとは、違う問題だと思います。

 ドイツにはドイツの事情が、日本には日本の事情があります。ドイツのシュタットヴェルケには、ドイツ特有の歴史、背景があることを忘れてはなりません。

 また、シュタットヴェルケを新しく設置するのは、自治体に大きな財政負担となります。そのための専門の人材も必要ですが、日本ではまず人材育成からはじめなければなりません。県庁職員や自治体職員の天下りでは、うまくいきません。

 シュタットヴェルケという箱をつくっても、その中身をどうやって埋めるのかも考えないと意味がないということです。

 エネルギー転換において重要なのは、最終消費者である住民がどのエネルギーを使うのか選択しやすくることです。そのためには、配電網を住民のものとするか、公営化するか、配電網に公共性を持たることが必要です。そのためには、特にシュタットヴェルケが必要であるとは思えません。

 日本でまず必要なのはむしろ、住民など最終消費者に最も近いところで、たとえば住宅を新築する場合やソーラーパネルを設置する場合などにおいて、エネルギー問題についてアドバイスできる「エネルギー相談室」のようなものではないかと、ぼくは思います。

 ドイツでも、エネルギーエージェント(Energieagentur)というエネルギー相談機関が国、州、自治体のレベルに設置され、住民の近いところでエネルギーに関して住民や中小企業をアドバイスしています。

 こういう組織をまず、自治体レベルで日本各地に設置していくべきだと思います。設置に当っては、各地にある既存の環境NPO法人などを「エネルギー相談室」の窓口となるように支援していくのがいいのではないかと思います。そして、それをネットワーク化していきます。

 まず小さくはじめて、次第にネットワーク化で大きなものに育てていくということです。

 その後に、シュタットヴェルケのようなものが必要かどうか、考えてもいいのではないと思います。

まさお

シュタットヴェルケ関連記事:
地域熱源で熱を供給する(ベルリン@対話工房)
都市電力公社もバイオガス発電(ベルリン@対話工房)
シュタットヴェルケはエネルギー総合企業(エネルギー選択宣言ブログ)
ドイツでは、電源を明らかにして電力の商品価値を高めた(エネルギー選択宣言)
エネルギー自治を目指す市民(エネルギー選択宣言)
配電網が重要(エネルギー選択宣言)
プラスエネルギーハウスを地域へと拡大させる(エネルギー選択宣言)

2018年6月6日水曜日

再生可能エネルギーで発電された電気は、どう区別するのか?

再生可能エネルギーQ&A

 再生可能エネルギーで発電された電気は、それ専用の電線を通って供給されるわけではありません。電気はすべて、発電施設から共通の送電網に流れ、さらに配電網から各家庭に供給されます。

 ですから、実際に使っている電気では、火力発電されたものなのか、原子力発電されたものなのか、あるいは再生可能エネルギー発電されたものなのか、それを区別することができません。

 それでは、再生可能エネルギーで発電された電気を供給してもらう契約を結んでも意味がないのでしょうか。

 いや、そんなことはありません。

 契約した電力会社が独自に発電した再生可能エネルギー電気と他社から購入した再生可能エネルギー電気の年間総量が、再生可能エネルギー電気の供給契約をした各家庭に供給された電気の年間総量と一致するか、供給された電気量を上回っておれば、再生可能エネルギーで発電された電気が供給されたことになります。

 年間の総量で比較するので、365日1秒たりとも切れることなく、常に再生可能エネルギーで発電された電気が供給されていたという保証はありません。でも、それを証明すること自体がかなりの負担になります。また、再生可能エネルギーの割合がまだ少ないので、時間帯と天候次第では、それ自体がまだ不可能な状況が発生している可能性もあります。

 ですから、今のところは年間ベースでよしとします。

 それは、地域が100%再生可能エネルギー化されたという場合も同じです。それは、その地域で再生可能エネルギーで発電された電気の年間総量が消費された電気の年間総量と一致するか、それ以上の場合にそういいます。

 つまり、発電された電気が送電網で混じってしまう以上、すべての電気が再生可能エネルギーで発電されるようになるまでは、電力会社の帳簿の上でしか、電気の種類を区別して供給実態を証明することができないということです。

2018年6月3日日曜日

これからは、住民が発電事業者だ

 ドイツでは今年3月、電力最大手のEon社とRWE社が一部合併、吸収することで、Eon社が配電とエネルギー供給システム、RWE社が従来の発電方法と再生可能エネルギーによる発電と、棲み分けされることになります(詳しくは、ベルリン@対話工房の記事「ドイツ電力大手が再々編」を参照)。

 両社では、脱原発、エネルギー転換が進み、火力など従来の発電方法ではもうビジネスが成り立たなくなっています。そのため、両社は2016年に火力や水力など従来の発電方法から再生可能エネルギーを切り離してリストラしたばかりでした。それが、2年もしないうちにまたリストラしなければ、電力大手が生き残れなくなっているということです。

 ドイツのエネルギー転換は現在、再生可能エネルギーによる発電が発電全体の30%以上を占め、電気、熱、動力燃料のエネルギーを連携して再生可能エネルギーによって安定的に、効率よく供給するためのシステムを開発する段階に入っています。

 その意味で、最大手のEon社がシステムサービスに特化していくのはよくわかります。

 再生可能エネルギーによる発電においても、ドイツは昨年2017年から固定価格買取り制度(FIT制度)において、電気の買取り価格を入札で決めて発電施設の建設権を与える制度をはじめています。その状況については、ぼくのベルリン@対話工房のサイトで連載していますので(全体で5回ほどの予定)、そちらを参照してください(「ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ」)。

 昨年の入札の結果、風力発電で最も安く買取り価格を提示した落札額は、電気1kWh当り2セント余りです。日本円にして3円ほどにしかなりません。今ソーラーパネルもかなり安くなってきていますので、太陽光発電の発電コストも1kWh当り6セントくらい(8円余り)にまで下がっています。

 再生可能エネルギーによる発電では、燃料コストやメンテナンスコストがほとんどありません。そのため、発電施設を建設する時の投資額が、発電コストの大半を占めるにすぎません。発電施設の設備費は、これからさらに下がっていくことが予想されます。それでは、再生可能エネルギーにおいても発電で利益を上げることができなくなっていくことが予想されます。

 それでは再生可能エネルギーが普及しなくなりますので、再生可能エネルギーに投資するインセンティブを与えているのがFIT制度です。ただそれでは、再生可能エネルギーを助成する負担が増えるだけなので、そのFIT制度と入札制度を組み合わせて再生可能エネルギーに競争原理をもたらそうというのが入札制度導入の目論見です。でもそれによって、再生可能エネルギーではエネルギーコストが安いという本来の現実がよりはっきりしてきます。

 でもここでは依然として、発電した電気を送電網に送って売電するという方法を前提としています。発電、送電、配電、販売を行なう従来型の電力ビジネスを基盤にしているにすぎません。

 でもソーラーパネルがすでに安くなっているほか、家庭用の蓄電池も次第に価格が下がってきました。今後、ソーラーパネルと蓄電池(電気自動車の蓄電池を家庭用に併用してもいい)をセットにして設置すれば、家庭内で安く、簡単に安定して自家発電、自家消費できるようになります。また集合住宅においても、ドイツでは共同でセーラーパネルを設置して共同消費する傾向が出てきています。そうなると、電力会社から電気を供給してもらう住民は益々減っていきます。

 住民は電気自家発電消費して、余った電気を売るだけになります。こうして、住民がみんな発電事業者になるのはそう遠いことではありません。

 そうなると、発電、送電をベースとした従来の発電ビジネスはもう成り立ちません。ドイツでは現在、それがもう見えてきたと思います。

まさお