2018年8月5日日曜日

交通政策を下から変える

 都市を自動車交通によって窒息させてはならない。

 これが、ベルリンで起こった「Changing Cites」運動のモットーです。運動の中心は、若い世代です。

 公共空間は一体誰のものなのか。公共空間は、自動車や経済活動のためのものではありません。市民は、それに甘んじていてもいけません。市民は、公共空間を市民のものにするために立ち上がるべきだというのが、運動する若い人たちの考えです。

 スマートシティ化。それが、運動の目指すものです。市民が平等に、民主主義的に公共空間を利用できる都市。都市のインフラ整備についても、市民のためのものなのか、市民が監視していかなければなりません。

 そのためには、交通政策の転換も必要です。本来であれば、市民のための交通政策でなければなりません。最近のトレンドである自転車専用道路や交通手段のシェア化だけでは、交通は市民のものになりません。こどもが道路を安全に利用できる権利も守らなければなりません。

 経済を目的とした広告が、都市から撤廃されることも望んでいます。

 こうした市民の都市に対する希望を実現するほか、都市開発において市民側から問題を提起します。そのために住民投票を行って、政治に圧力をかけることもあります。

 また、同じ考えを持つ市民をネットワーク化します。

 「Changing Cites」運動はこうすることによって、道路などの公共空間を市民の対話の場となることを望んでいます。それが、地元の経済力を促進し、都市生活の質を向上させることにもつながります。

 ベルリンではじまった運動は、ドイツ各地に広がっていきました。

 こうした運動が、日本でも起こってほしいと思います。

まさお

参考記事:「バイバイ自動車中心社会

2018年7月29日日曜日

日本のエネルギー基本計画は、自殺行為だ

 日本政府は、「第5次エネルギー基本計画」 を閣議決定しました。

 そこで、再生可能エネルギーの「主力電源化に取り組む」としています。まず、再生可能エネルギーの電源構成に占める割合を、2030年度までに22%から24%にするとしています。

 でも第1章でも書いていますが、日本の場合、約9%は水力発電です。水力発電は確かに自然エネルギーですが、日本のような大型ダムを使った水力発電は再生可能エネルギーではありません。それで、再生可能エネルギーを主力電源にするというのは、矛盾した話です。キャップをかけて、再生可能エネルギーがやたら増えないようにしているとしか思えません。

 もう一つの問題は、2020年から導入される容量市場です。これについては、サイトの「容量市場は必要か?」で書きました。

 ここで見えてくるのは、「主力電源化に取り組む」といっても再生可能エネルギーを主力電源にする気はない、してしまうと逆に困るということです。

 ぼくには、容量市場の導入は、これまでの総括原価方式に代わる新しいメカニズムだとしか思えません。それによって、大手電力会社を存続させ、原子力発電に莫大なお金を無駄に投資してきたこと、さらに原子力発電がやたら高いことを消費者にかわらないようにカモフラージュしているのだと思います。

 その詳細は、サイトを見ていただくことにします。

 ただ、再生可能エネルギーを主力電源にできない日本の事情もわかります。

 再生可能エネルギーが拡大すると、卸電力市場での取引価格が下がります。それは、太陽や風など再生可能エネルギーに限界費用(燃料費など)がないからです。この問題も、第1章で取り上げました。

 ドイツは現在、大手電力会社は再編し、発電事業から撤退する方向にあります。発電では、もう利益を上げることができないからです。ぼくは、再生可能エネルギーについても、将来固定価格買い取り制度がなくなると、そうなると思います。

 でもそうなると、日本では既存の電力市場が存続できません。大手電力会社を存続させるためには、総括原価方式に代わる新しい制度的なサポートが必要になっています。それが、容量市場の導入です。

 日本の地方では、原発に依存する大手電力会社が最大の雇用主です。それが倒れてしまうと、日本の経済、日本社会が成り立ちません。だから、大手電力会社と原発を新しい制度によって人工的に存続させる。それが、今の日本のエネルギー政策なのだと思います。

 でも、世界は再生可能エネルギーへ転換しようとしています。再生可能エネルギーが拡大するとともに、発電コストは限りなく安くなります。そうなると、既存の電力市場構造に依存した日本では、発電コストがやたら高くなってしまいます。

 日本は、伝統的にものつくり大国です。それで、ものつくりが維持できますか。もちろん、できません。再生可能エネルギーへの転換が遅れれば遅れるほど、日本は世界から取り残され、経済競争に負けていきます。

 日本のこの経済構造を換えるためには、長い時間がかかります。国際競争に負けないようにするには、構造改革をできるだけ早く実行して、地方が電力会社に依存しなくていい経済構造に再編しなければなりません。そうしない限り、日本はもう世界の競争に勝てなくなります。

 でも、新しい「第5次エネルギー基本計画」は、電力大手に依存した構想を維持しながら、再生可能エネルギーを徐々に増やすことしか考えていません。日本の将来のことを考えると、それは自殺行為としかいいようがありません。

 それで、いいのでしょうか?

まさお

参考記事:「容量市場は必要か?

2018年7月9日月曜日

再生可能エネルギーQ&A移転のお知らせ

 再生可能エネルギーQ&Aは、これまでこのブログに掲載してきましたが、ベルリン@対話工房のサイトに移転しました。

 今後は、過去の記事も含めてベルリン@対話工房の以下のページで掲載していきます。

 再エネいろはのURLは、以下です。

https://www.taiwakobo.de/neu/eefa/artikel_eefa.htm

まさお

2018年6月23日土曜日

再生可能エネルギーに対する嘘

 ⎡エネルギー選択宣言⎦の第1章で、ぼくは再生可能エネルギーの発電コストが安いことをくどいくらいに説明しました。燃料費はいらないし、メンテナンスもほとんど必要ない。発電設備も小さいので、設備コストは安いし、減価償却期間も短い。

 発電コストが安いのは、当然の話です。

 でも、往々にして再生可能エネルギーは高いといわれます。そこでは、忘れられていることがいろいろあります。

 ひとつ重要なことは、燃料が必要ないので、再生可能エネルギー(特に風力発電と太陽光発電)では、発電量が多くなろうが、少なくなろうが全体の発電コストは変わらないということです。燃料がいらないからです。

 それに対して、火力発電や原子力発電などの従来の発電方法では、発電コストは発電量が多くなればなるほど全体のコストが上がります。それは、それだけ燃料が必要になるからです。

 でも、いくら発電しても全体の発電コストが増えないなら、使うだけ使えるように、需要を増やしたほうがいいのではないですか。その方がずーと得なのは、誰にでもわかると思います。

 それでは、なぜ再生可能エネルギーは高いといわれるのでしょうか。

 それは、再生可能エネルギーで発電できる設備を整備するまでに、お金と時間がかかるからです。それを整備するための施策として、固定価格買い取り制度があります。その制度によって電気を割高に買うことで発電設備を増やしているので、再生可能エネルギーが高くなっているにすぎません。

 それは、再生可能エネルギーがまだ発展段階にあるからです。

 そういう発展段階は、火力発電の時も、原子力発電の時もありました。でも、発展段階にある技術と、定着段階に入ってしまっている技術で、今どっちが高いと比較しては、フェアではありません。発展段階に、お金がかかるのは当然です。

 今もし、再生可能エネルギーで発電する設備が成長して、火力発電と原子力発電で発電できる容量と同じくらいあるとしましょう。そこで、再生可能エネルギーと比べると、火力発電と原子力発電は発電コストが高すぎて、再生可能エネルギーには太刀打ちできません。

 ドイツでは、すでに再生可能エネルギーによる発電量が発電量全体の30%を超え、風力発電の発電コストは、火力や原子力にも負けないようになってきました。

 そうなって困るのは、火力発電と原子力発電で既存権益を得ている電力業界です。

 だから、電力業界はその既得権益を守るために、再生可能エネルギーを増やさないように妨害するのです。

 これが、再生可能エネルギーは高いといわれる嘘のカラクリでもあります。

 それに対抗するには、どうするのか。

 答えはひとつです。再生可能エネルギーを使って、需要をどんどん増やすことです。

 そのためには、市民が再生可能エネルギーで発電された電気を使いたいと声を上げ、再生可能エネルギーで発電された電気を供給してもらう契約を結んでいくしかありません。

 そうすれば、近い将来、電気がとても安いものになります。

まさお

2018年6月18日月曜日

エネルギー相談室は何をするのか?

 ブログでは前回、各地にエネルギー相談室を設置すべきだと書きました。

 それでは、エネルギー相談室は具体的にどういうことをするのでしょうか?

 個人向けには、たとえばソーラーパネルを設置する場合の相談窓口になります。

⁃ 屋根の強度の問題
⁃ ソーラーパネルの種類
⁃ だいたい必要な予算
⁃ 助成金をもらえる条件
⁃ 固定価格買い取り制度で発電した電気を電力会社に買い取ってもらう条件や手続き

などについて情報を提供します。

 また、その他、ソーラー温水器を設置する場合、蓄電池も一緒に装備したい場合にもアドバイスします。また、住宅の断熱効果を上げるためのアドバイス、さらには家庭で省エネする可能性についてもアドバイスします。

 中小企業の場合たとえば、

⁃ ソーラーパネルをつける場合に助成金をもらえる可能性があるのかどうか、
⁃ 企業内で省エネを実現するためにはどうすべきなのか

などについてアドバイスします。

 また、再生可能エネルギーや省エネに関して情報提供するほか、再生可能
エネルギー化、省エネ化を推進するインセンティブを与えるために、ワークショップやセミナーなども開催します。

 こうして、各地域においてエネルギーに関する意識を高めていくのもたいへん大切な課題です。

 こうしたことが、エネルギー相談室が行うべき事例だと思います。

まさお

2018年6月10日日曜日

各地にエネルギー相談室を!

 ぼくは、これまでドイツのシュタットヴェルケについて何回か報告してきました。

 シュタットヴェルケは基本的に、自治体の公営会社として電気、熱、ガス、水道などを供給する公益事業を行なっています。都市鉄道、バス、トラム、地下鉄などの公共交通事業も一緒に行なっているシュタットヴェルケもあります。

 ただ、90年代に自治体の財政難で、民営化されてしまったところも結構あります。

 そのシュタットヴェルケが、日本でも注目を集めているといいます。再生可能エネルギーによってエネルギー転換する手段として注目されているようです。

 ここで、注意しないといけないのは、単に電気を供給するだけのシュタットヴェルケでは機能しないということです。ドイツでも、大都市の大きなシュタットヴェルケは、一般家庭と産業向けの電気と熱の供給を行なっています。そのほうが、効率よくエネルギーを利用できるからで、地域で効率よくエネルギーを利用するためのシステム開発もシュタットヴェルケの重要な役割になっています。

 地域によっては、再生可能エネルギー化のためにシュタットヴェルケへの住民参加を促進しているところもあります。

 実は、日本でもドイツのシュタットヴェルケのような自治体エネルギー公社がありました。でも日本では、電力市場が大手電力9社によって地域毎に棲み分けされてしまいました。ドイツの場合は、大手電力が発電と高圧送電を行い、シュタットヴェルケが地元での発電と配電を行なうことで棲み分けされていました。それが、シュタットヴェルケが残った要因だと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケで一番重要な点は、独自に発電しているというよりも、配電網、地域熱源供給網、ガス配管網を持って生活の一番近いところでエネルギーを供給する役割を果たしていることだと思います。それ故に、ドイツの住民はどのエネルギーを選択するのか、大手電力の経済権力に強制されることなく、自分の判断で使うエネルギーを決定することができます。その点で、シュタットヴェルケがとても重要な役割を果たしてきたと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケが日本で注目されているのは、歓迎すべきことだと思います。でもそれが、日本でも実現できるか、またはすべきかについて議論するのとは、違う問題だと思います。

 ドイツにはドイツの事情が、日本には日本の事情があります。ドイツのシュタットヴェルケには、ドイツ特有の歴史、背景があることを忘れてはなりません。

 また、シュタットヴェルケを新しく設置するのは、自治体に大きな財政負担となります。そのための専門の人材も必要ですが、日本ではまず人材育成からはじめなければなりません。県庁職員や自治体職員の天下りでは、うまくいきません。

 シュタットヴェルケという箱をつくっても、その中身をどうやって埋めるのかも考えないと意味がないということです。

 エネルギー転換において重要なのは、最終消費者である住民がどのエネルギーを使うのか選択しやすくることです。そのためには、配電網を住民のものとするか、公営化するか、配電網に公共性を持たることが必要です。そのためには、特にシュタットヴェルケが必要であるとは思えません。

 日本でまず必要なのはむしろ、住民など最終消費者に最も近いところで、たとえば住宅を新築する場合やソーラーパネルを設置する場合などにおいて、エネルギー問題についてアドバイスできる「エネルギー相談室」のようなものではないかと、ぼくは思います。

 ドイツでも、エネルギーエージェント(Energieagentur)というエネルギー相談機関が国、州、自治体のレベルに設置され、住民の近いところでエネルギーに関して住民や中小企業をアドバイスしています。

 こういう組織をまず、自治体レベルで日本各地に設置していくべきだと思います。設置に当っては、各地にある既存の環境NPO法人などを「エネルギー相談室」の窓口となるように支援していくのがいいのではないかと思います。そして、それをネットワーク化していきます。

 まず小さくはじめて、次第にネットワーク化で大きなものに育てていくということです。

 その後に、シュタットヴェルケのようなものが必要かどうか、考えてもいいのではないと思います。

まさお

シュタットヴェルケ関連記事:
地域熱源で熱を供給する(ベルリン@対話工房)
都市電力公社もバイオガス発電(ベルリン@対話工房)
シュタットヴェルケはエネルギー総合企業(エネルギー選択宣言ブログ)
ドイツでは、電源を明らかにして電力の商品価値を高めた(エネルギー選択宣言)
エネルギー自治を目指す市民(エネルギー選択宣言)
配電網が重要(エネルギー選択宣言)
プラスエネルギーハウスを地域へと拡大させる(エネルギー選択宣言)

2018年6月3日日曜日

これからは、住民が発電事業者だ

 ドイツでは今年3月、電力最大手のEon社とRWE社が一部合併、吸収することで、Eon社が配電とエネルギー供給システム、RWE社が従来の発電方法と再生可能エネルギーによる発電と、棲み分けされることになります(詳しくは、ベルリン@対話工房の記事「ドイツ電力大手が再々編」を参照)。

 両社では、脱原発、エネルギー転換が進み、火力など従来の発電方法ではもうビジネスが成り立たなくなっています。そのため、両社は2016年に火力や水力など従来の発電方法から再生可能エネルギーを切り離してリストラしたばかりでした。それが、2年もしないうちにまたリストラしなければ、電力大手が生き残れなくなっているということです。

 ドイツのエネルギー転換は現在、再生可能エネルギーによる発電が発電全体の30%以上を占め、電気、熱、動力燃料のエネルギーを連携して再生可能エネルギーによって安定的に、効率よく供給するためのシステムを開発する段階に入っています。

 その意味で、最大手のEon社がシステムサービスに特化していくのはよくわかります。

 再生可能エネルギーによる発電においても、ドイツは昨年2017年から固定価格買取り制度(FIT制度)において、電気の買取り価格を入札で決めて発電施設の建設権を与える制度をはじめています。その状況については、ぼくのベルリン@対話工房のサイトで連載していますので(全体で5回ほどの予定)、そちらを参照してください(「ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ」)。

 昨年の入札の結果、風力発電で最も安く買取り価格を提示した落札額は、電気1kWh当り2セント余りです。日本円にして3円ほどにしかなりません。今ソーラーパネルもかなり安くなってきていますので、太陽光発電の発電コストも1kWh当り6セントくらい(8円余り)にまで下がっています。

 再生可能エネルギーによる発電では、燃料コストやメンテナンスコストがほとんどありません。そのため、発電施設を建設する時の投資額が、発電コストの大半を占めるにすぎません。発電施設の設備費は、これからさらに下がっていくことが予想されます。それでは、再生可能エネルギーにおいても発電で利益を上げることができなくなっていくことが予想されます。

 それでは再生可能エネルギーが普及しなくなりますので、再生可能エネルギーに投資するインセンティブを与えているのがFIT制度です。ただそれでは、再生可能エネルギーを助成する負担が増えるだけなので、そのFIT制度と入札制度を組み合わせて再生可能エネルギーに競争原理をもたらそうというのが入札制度導入の目論見です。でもそれによって、再生可能エネルギーではエネルギーコストが安いという本来の現実がよりはっきりしてきます。

 でもここでは依然として、発電した電気を送電網に送って売電するという方法を前提としています。発電、送電、配電、販売を行なう従来型の電力ビジネスを基盤にしているにすぎません。

 でもソーラーパネルがすでに安くなっているほか、家庭用の蓄電池も次第に価格が下がってきました。今後、ソーラーパネルと蓄電池(電気自動車の蓄電池を家庭用に併用してもいい)をセットにして設置すれば、家庭内で安く、簡単に安定して自家発電、自家消費できるようになります。また集合住宅においても、ドイツでは共同でセーラーパネルを設置して共同消費する傾向が出てきています。そうなると、電力会社から電気を供給してもらう住民は益々減っていきます。

 住民は電気自家発電消費して、余った電気を売るだけになります。こうして、住民がみんな発電事業者になるのはそう遠いことではありません。

 そうなると、発電、送電をベースとした従来の発電ビジネスはもう成り立ちません。ドイツでは現在、それがもう見えてきたと思います。

まさお

2018年3月31日土曜日

デジタル化は電気の食いしん坊

 これまであまりはっきり認識されていないのが、グーグルやフェイスブック、ヤフーなどIT産業の電気消費量がとても多いということではないでしょうか。サーバーなどのあるデータ処理センターでは、IT機器が四六時中稼働しています。これら機器が過熱しては稼働しなくなるので、IT機器を冷やすためにクーラーもフル稼働しています。

 こうして見るだけでも、データ処理センターではたくさんの電気が消費されていることがわかります。

 社会がデジタル化すればするほど、電気消費量が莫大に増加していくことが予想されます。デジタル化は、IT産業の電気消費を莫大に引き上げ、電気の食いしん坊にさせていきます。従来の産業では、アルミ産業が電気を最も大量に消費していました。しかし、IT産業がいかに電気を必要とするかを考えると、IT産業の電気需要はアルミ産業の電気需要を超えていくことが予想されます。

 この多量なIT産業の電気需要に対して、IT産業はどう対応しようとしているのでしょうか。

 グーグルなどIT産業は、再生可能エネルギーへの投資を拡大し、電気を再生可能エネルギーで供給しようとしています。再生可能エネルギーは一般的に高いといわれていますが、それはどうしてなのでしょうか。

 答えは、簡単です。

 再生可能エネルギーは燃料を必要としません。そのため、発電コストは燃料価格に影響されません。再生可能エネルギーの発電コストは、その結果安定しています。また再生可能エネルギーの分野では、今後学習効果や投資の拡大などがより期待されるので、発電コストが益々下がっていくことが予想されます。

 それに対して、火力発電や原子力発電で発電コストが安くなっているのは、発電設備が古くて減価償却されているからにすぎません。発電設備の老朽化が今後さらに進むと、新しい発電設備が必要となります。しかし、これら大型設備を建設するには莫大な投資が必要です。それによって発電コストが引き上がります。さらに、燃料費が今後益々上がっていくので、これら従来の発電方法では今後発電コストが上がっていくばかりです。

 こうした状況を見れば、明らかです。デジタル化進めば進むほど、電気の大口消費者となるIT産業は、安い再生可能エネルギーに依存しなければならなくなります。

 これまで日本では、再生可能エネルギーは高いとしわいわれていません。でも国際的には、IT産業を見ればわかるようにそうではありません。

 この現実をよく知ってもらいたいと思います。

まさお

2018年2月4日日曜日

電気スクーターをシェア

第8章「交通の未来」では、交通が将来どうなるのか、簡単なスケッチをしてみたところがあります。一つが、電気自動車によるカーシェアリングでした。その他、無人の小型バスによって公共交通が利用者中心に大幅に改革される可能性についても述べました。

 実際、ベルリンでは今年春から、ベルリン公共交通公社と自動車大手のダイムラーが共同で小型バスによる相乗りタクシーをはじめます。これは、携帯電話のアプリを使って同じ方向にいく乗客を集客し、小型バスで輸送するという新しい交通システムです。

 現在の公共交通とタクシーを合わせたようなサービスで、Ride Sharingと呼ばれます。自動車は当初、まだ電気式を使用しないが、いずれ電気自動車化を進めるとしています。ベルリンにはすでに、電気自動車だけで同じ方法ですが、独自に開発したアプリで相乗りタクシーを運行しているClever Shuttleというサービスもあります。

 また、電気スクーターのシェアリング・サービスEmmyも登場しています(記事一番上の写真)。アプリをダウンロードして会員になれば、アプリで最寄りに駐車されている電気スクーターを探して乗ります。使った後は、ベルリンの環状線都市線内であればどこに乗り捨ててもかまいません。一旦降りてまた使いたい場合は、休憩モードにしておくこともできます。料金は、1分単位か走行距離1km単位で支払います。

 Emmyを立ち上げたのは学生のスタートアップで、ベルリンのような大都市からは自動車を排除してしまいたいとの夢を持っています。

 Emmyのサイトは以下です。英語サイトもあり。
 https://emmy-sharing.de/

まさお

2018年1月21日日曜日

食品を廃棄から救うアプリ

 余ったり、売れ残った食料品が無駄に捨てられるだけになっている状況から、ドイツではそれを回収してバイオガス発電に使っていることを第4章で書きました(記事「残飯でガスをつくる」)。ただそれに対して、売れ残った食料品をホームレスなどに供給する運動をしている市民団体があることも書きました。

 また同じ記事では、売れ残りのパンを販売するセカンドハンド専門のパン屋や売れ残りのパンを燃料にしてパンを焼いているパン屋さんがあることも書きました。さらにこのブログでは、スーパーの売れ残り食品を販売するセカンドハンドスーパーがあることも紹介しました(記事「セカンドハンドの食品を販売」)。

 今ドイツではさらに、「Too Good To Go」というアプリが普及しはじめています。これは、デンマークのスタートアップが開発したもので、レストランなどで余った食品を格安で消費者に仲介するマッチングアプリです。レストラン側はアプリに登録して余った食品情報をアプリに提供します。アプリを使う消費者側はアプリで余り食品情報を得て、そこから自分で食べたい食品を選択して、アプリで支払って決算します。

 後は、決められた時間に注文したレストランに食品を取りにいくだけ。レストランの場合は、閉店1時間前などです。食品がボックスに入れられてピックアップされるのを待っています。たとえばベルリンでは、食品ボックス1つは食品にもよりますが、だいたい3ユーロ(約500円に相当)くらいだといいます。

 アプリに登録しているのは、レストラン、カフェ、パン屋さんなど。アプリはまだヨーロッパでしか普及していないようですが、食品をいかに無駄にしないか。それについても消費者側も自分で考え、どうするのがいいか自分で実行したいと思います。

 ドイツのサイトは以下です。
 https://toogoodtogo.de/

まさお

2018年1月13日土曜日

ドイツの再生可能エネルギーは宗教のおかげ?

 ぼくのドイツ人の友人に、放射線防護問題に詳しい友人がいます。その友人を訪ねた時でした。先日、日本のドキュメンタリー映画の女性監督がインタビューにきたというのです。映画監督は、ドイツの脱原発、再生可能エネルギーの普及について取材しているということでした。

 インタビューの主なテーマは最終処分問題だったようです。でも、ドイツでなぜこう再生可能エネルギーが普及してきたのかという質問もあって、それはドイツ人の宗教観からきていないだろうかと聞かれたそうです。ドイツでこれだけ再生可能エネルギーが普及してきているのに、なぜ日本では進まないのか。その違いがどころからきているのか、それを追求してみたいというのが質問の背景だということでした。

 ぼくの友人は困ってしまいました。思ってもみなかったし、考えてもみなかった質問にどう答えていいかわかりません。友人の連れ合いの女性が哲学などに詳しいので、その女性がいろいろ助け舟を出してくれました。その場は、それで何とか終えたということでした。簡単にいえば、まあそういうところもあるかもしれないけれど、よくわからないが彼らが答えた結論でした。

 でも二人の本音は、そんなことはないと思っていると、ぼくに明かしてくれました。なぜそういう質問をされたのかもわからないといっていました。

 二人は今度、それについてどう思うか、ぼくに聞いてきました。ぼくにとっても、それは思ってもみなかった質問でした。

 再生可能エネルギーと宗教。うーむ。

 確かに昨年2017年がルターの宗教改革600年だったとはいえ、再生可能エネルギーを進めたいという気持ちと宗教を結び付けるのはとても意外でした。無理がないだろうか、といわざるを得ませんでした。

 再生可能エネルギーという自然なものを求めることが宗教観に通じるところがあるのか。それなら、自然に対する思いは西洋人のドイツ人よりは、日本人のほうが自然との調和にもっと強い思いを持っていないでしょうか。

 600年前の宗教改革は、上から宗教を押し付けられるのではなく、市民自身が宗教に対する意識にめざめたのでした。そうして、自分のための宗教になったのでした。それが、市民社会への社会改革へとつながっていきます。市民の意識改革であったともいえます。

 ぼくは、そこに再生可能エネルギーとつながるところがあると思います。

 再生可能エネルギーは発電設備が小型で、それを分散化、ネットワーク化させて使うことに意義があります。そこに、一般市民自らがエネルギーの供給、利用に関わる可能性が生まれます。だから、ドイツでは再生可能エネルギーへの投資の60%が一般市民によるものです。

 市民が大手電力会社にどういうエネルギーを使うのか強制されるのではなく、自分で使いたいエネルギーを自分で選ぶ。自分で発電する。再生可能エネルギーは、その可能性を市民に与えてくれます。市民はそれによって、エネルギーを利用することにおいて、自立できるのです。

 これは、エネルギーに対する市民意識を改革し、エネルギー自治を実現して、エネルギーにおいて経済権力から解放される一つの方法となります。

 ぼくはドイツ市民社会に、エネルギーを自分たちのものにしたい、しなければならないという意識があると感じます。それが、ドイツでここまで再生可能エネルギーを普及させてこれた一つの大きな要因だと思います。

 それは、「エネルギー選択宣言」で伝えたかったことでもあります。

まさお