2018年12月2日日曜日

自家発電、自家消費のすすめ

 ぼくは、太陽光発電は屋根にソーラーパネルを設置して行うのが一番だと思っています。平地などで、出力の大きなメガソーラーを設置するのは適切ではないと思います。そのために森林や山の斜面などを切り開いて整地し、環境を破壊してまで発電するのは、再生可能エネルギーではないからです。

 ドイツでは10数年前に再生可能エネルギー法によって、メガソーラーで発電された電気の買取価格を結構引き上げたことがあります。それによって、一時メガソーラーがブームになりました。

 ただそれによって、電気料金がかなり高くなりました。一旦ブームになると、その分の発電量が増えるので、再生可能エネルギーで発電される電気を固定価格で買い取る固定価格買取制度(FIT)による負担が増えます。その負担は消費者全体に分配して電気料金で負担するので、電気料金が高騰します。

 ドイツでは現在、出力750kWを超えるメガソーラーは入札方式で電気の買取価格が確定します。その結果、メガソーラーで発電される電気の買取価格は下がってきました。ただその分、資金力のない市民がメガソーラーに投資しにくくなり、メガソーラーでは企業がますます有利になっています。

 メガソーラーに関しては、ぼくは最低以下の二つの条件を満たしてほしいと思います。
◦空き地をそのまま利用し、森林や山を切り開いて設置場所をつくらない
◦市民共同で出資して設置するなど、市民ベースの団体が設置するのを優先するか、それ以外の設置を認めない

 次に太陽光発電で大きな可能性をもたらしてくれるのが、工場や倉庫、公共施設、オフィス、集合住宅などです。屋根が大きいので、ソーラーパネルを設置する場所がたくさんあります。ドイツではここ数年来、この種の太陽光発電がブームになってきました。

 この種のソーラーパネルでも、市民が共同で出資して運用できます。工場や倉庫、公共施設は市民団体に屋根を貸せば、賃貸収入を得ることができます。集合住宅では、住民が共同で発電して電気を住民たちで消費できます。企業自身も、自社工場やオフィスで自家発電、自家消費できます。

 ところが昨日の記事でも書いたように、この種のソーラーパネルで発電される電気の買取価格が2019年からかなり引き下げられることになりました(2018年12月1日の記事「FIT制度をさらに改正」)。この改正は、太陽光発電を普及させる上では大きなマイナスだと思います。本来、この種の太陽光発電をもっと支援していかなければならないはずです。

 すでに述べたように、再生可能エネルギーで発電される電気の買取制度による負担が大きくなると、電気料金が上がります。それを防ぐためには、買取価格を引き下げるしかありません。そのために、今回の改正が行われました。

 陸上風力発電では、設置できる陸地には限界があります。再生可能エネルギーがある程度増えてくると、その割合をさらに増やしていく場所は、陸上では屋根しかなくなります。屋根はたくさんあるのだから、屋根にできるだけ多くのソーラーパネルを設置するしかありません。

 ソーラーパネルで発電される電気の買取価格を引き下げるのは、中国産のソーラーパネルの普及で、ソーラーパネルがとても安くなったからでもあります。それに伴い、電気の買取価格が高すぎると判断されたのだと思います。買取価格が高すぎると、バブルになる危険もあります。

 中国は国家戦略としてソーラーパネルを販売しているので、ドイツでもめっぽう安く買えます。これは、中国の公的補助といってもいいと思います。それなら中国の公的補助を使って、どんどん屋根にソーラーパネルを設置していけばいいのです。ドイツ国内のパネルメーカーを中国産から守るといっても、国内製造による雇用はたかが知れています。それなら、中国からの公的補助の恩恵に預かって、安いソーラーパネルをどんどん設置したほうが得策だと思います。

 また、小型蓄電池もかなり値崩れして安くなりました。ソーラーパネルを設置するには、蓄電池とセットで設置すべきだと思います。それによって自家発電、自家消費ができるようになり、余った電気は売ることができます。そうすれば、新しい収入源も生まれます。

 自家発電、自家消費するようになれば、法的に規制される電気の買取価格の影響も小さくなります。

まさお

2018年11月25日日曜日

脱石炭、脱炭素の本当の意味

 フランスでは、自動車の燃料税増税に反対して大規模な反政府デモが起こっています。

 ドイツでは、脱瀝青炭(普通、石炭といえばこちら)が今年(2018年)末で実現される予定です。さらに現在、脱褐炭(低品位の石炭)に向けても協議が続いています。脱褐炭する時期は、来年決定されると思います。またドイツでは、ディーゼル車の窒素酸化物排出問題で、一部の都市において裁判によって一部ディーゼル車の走行が禁止されました。

 ここで問題になっているのは、温室効果ガスによって温暖化が加速していることです。温暖化をストップさせないと、将来居住できない地域が出てくるなど、環境上、社会上、大きな問題が起こることが予想されます。

 温室効果ガスでは、二酸化炭素が温暖化の大きな要因になります。

 そのため、各国は燃料や排出される二酸化炭素に課税して、二酸化炭素の排出量を減らそうとしています。最終的には、二酸化炭素を排出しないようにするため、脱石炭や脱炭素することを目的にしています。

 ただぼくは、これは二酸化炭素を出さないという単なる結果論にすぎず、その原因となる問題を解決するほうが、根本的な問題解決になるのではないかと思います。

 石炭やガソリンといわれる化石燃料の中には、化学エネルギーがあります。石炭は、それを燃焼させることで化学エネルギーを熱エネルギーに変え、熱エネルギーで水を気化させて運動エネルギーに変換します。たとえば運動エネルギーで発電機を回せば、発電できます。これが、蒸気機関です。

 ガソリンは点火プラグを点火させてガソリンを爆発させることで、化学エネルギーを運動エネルギーに変えてピストンを動かします。これが、車を動かす原理です。これを、内燃機関といいます。

 石炭やガソリンにある化学エネルギーを熱エネルギーや運動エネルギーに変換させる時、二酸化炭素が排出されます。それは、石炭やガソリンなどの化石燃料の元である生物には、水と二酸化炭素が光エネルギーによって化学結合して、化学エネルギーが蓄えられていたからです。この反応のことを光合成というのは、中学校の理科の時間に習いました。

 こうして見ると、二酸化炭素は化学エネルギー変換のプロセスにおいて循環しているだけではないでしょうか。排出された二酸化炭素が再び生物に吸収されて、化学エネルギーが生物の中に蓄えられれば、二酸化炭素は再び生物の中に取り込まれます。

 この状態では、二酸化炭素は増えません。これを、カーボンニュートラルといいます。

 でも今、排出された二酸化炭素を吸収するだけの生物が十分にはありません。それは、化学エネルギーを蓄えていた石炭やガソリンが遠い過去に成長した生物を起源としているからです。過去に蓄積されていた二酸化炭素を吸収するだけの生物が今ないのは、当然の話です。

 そうなると、問題はむしろ二酸化炭素ではなく、過去の遺物である石炭やガソリンを使う技術にあるのではないでしょうか。つまり、過去に蓄積された化学エネルギーを蒸気機関と内燃機関で使うことに問題があるのです。この技術は、18世紀後半に起こった産業革命によって発明されました。

 蒸気機関と内燃機関において、カーボンニュートラルが確保できるのであれば問題ありません。蒸気機関では、太陽熱発電とバイオマス発電、内燃機関ではバイオガス発電がこれに相当します。それ以外の場合、蒸気機関や内燃機関を使うべきではありません。そうしない限り、温暖化を止める方法はないのではないかと思います。

 ぼくには、脱蒸気機関や脱内燃機関、あるいはむしろ脱産業革命といったほうが適切なように思います。産業革命から続いた産業時代に、一つの終止符が打たれようとしているのだと思います。

 それは、原子力発電にもいえることです。原子力発電も石炭火力発電と同じように、蒸気機関を利用しているからです。となると、原子力発電が温暖化対策になるという論理はおかしくないですか。

まさお

2018年11月18日日曜日

電気自動車へ移行させるのはいいけれど

 ドイツの自動車メーカー最大手のフォルクスヴァーゲン社は、自動車を電気自動車に切り替えるため、2023年までに300億ユーロ(約4兆円に相当)投資すると発表しました。2025年までに電気自動車を、現在の6車種から50車種以上にする計画です。

 その他、無人自動車や自動車のデジタル化などに140億ユーロ(2兆円弱に相当)投資するとしています。

 電気自動車化に向け、大胆なリストラを行うことになります。電気自動車の製造では部品数が激減するだけに、従業員が大幅に解雇されるのがたいへん気になります。しかし、同社は解雇するのではなく、新規採用を抑えて定年退職者が退社していくことで人員削減するとしています。

 まあ、ようやくかという気がしないでもありません。

 ドイツ政府が電気自動車化を国家戦略としていることがわかっていても、なかなか電気自動車化に乗り出せなかったドイツの自動車業界です。そのため、電気自動車の開発が遅れ、それに必要な蓄電池の製造工場さえドイツにはありません。

 そのため、蓄電池の製造では韓国や中国のメーカーと提携せざるを得なくなっています。フォルクスヴァーゲン社にとって、中国はたいへん重要な市場。中国ではこれまで通り、現地生産化を目指すとしています。

 日本のメーカーが挙がってこないのは、日本が遅れているからです。

 でもね、電気自動車化をいうだけでは意味がないんですよ。

 第8章⎡交通の未来⎦の⎡自動車メーカーが沈黙しているのは不思議⎦でいっているように、電気自動車は再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を使わないと意味がありません。

 ドイツでは、発電における再生可能エネルギーの割合が40%近くになったとはいえ、交通に電力を供給するには再生可能エネルギー化がもっと進まなければなりません。このままでは、火力発電や原子力発電された電力で電気自動車を走させることになりかねません。

 その意味で、フォルクスヴァーゲン社には電気自動車は再生可能エネルギーで走るものというしっかりした哲学を持ってほしかったのですがね。それが、再生可能エネルギーを促進させるインパクトにもなります。でも、それがありません。

 それが、将来に対する企業責任だと思うのですけどね。

まさお

2018年11月11日日曜日

地方交通をどう維持するのか?

 生活する上で大切なのは、地元で移動するための足です。ただ、人口の少ない地域ほど、利用客が少ないので、公共交通でもやっていけません。そうなると、自家用車に頼らざるを得なくなります。あるいは、人口がさらに減って過疎化します。

 大都市では家賃が上がる一方なので、郊外で生活して、時間をかけて通勤しなければならなくなります。都市に向かう公共交通は混雑し、通勤に自家用車を使えば、大都市では渋滞が起こります。通勤による疲労も増大します。

 過疎化や交通渋滞、それに伴う公害の問題は、社会構造や交通整備の問題とも密接に関係しています。さらに、これらの問題はエネルギー消費にも影響を与えます。

 交通の問題では、憲法で保障されている平等と公平さをどう実現するかもとても大切な課題です。過疎であっても、市民が移動できる公共交通をどう提供するのか。都市と過疎地で、移動するのに大きな格差があってはなりません。

 そのため、地方自治体などが地元の公共交通を維持するために補助金を出したりしています。それで運用されているのが、たとえば日本の第三セクターです。

 新幹線のような長距離鉄道は、経営が楽です。むしろ、地元の中近距離交通をどう整備して、魅力ある交通システムを提供していくのか。それが、地方を活性化させるポイントでもあります。地方においても、市民が自家用車ではなく公共交通を使えば、省エネ効果も高まります。

 単に公共交通を公営化しても、赤字経営になるのは過去の経験からわかります。公共交通にどう競争の原理をもたらし、効率と質を改善するのか。それが、大都市集中化を緩和する上でも、とても重要な課題になっています。

 たとえば、ドイツの首都ベルリンでは今、これまでドイツ鉄道の子会社によって運用されてきた都市鉄道交通(Sバーン)をどう改善するかが、大きな問題になっています。ドイツ鉄道のコスト削減戦略で車両のメンテナンスが不十分となって認可が下りず、使うことができなくなりまりました。そのために、長い間車両を走らせずにメンテナンスしていたことがあります。それで車両不足になり、運休を避けるため、混雑するのを覚悟で短い編成で走らせていました。

 そこで考え出されたのが、機関車、車両など輸送に必要なハードウェアを自治体が税金で購入し、そのメンテナンスと運転する会社を別々に入札で選ぶという方法です。こういう手法は、すでにドイツ北西部の二ーダーザクセン州で90年代に導入されています。それによって、単に補助金を出すよりも、サービスの向上ばかりでなく、コスト削減効果も生まれていることがわかっています。

 税金で車両を購入するということは、車両が公共所有ということになるので、平等性、連帯性も高まります。

 大都市集中化を防ぎ、地方分散化を進める上でも、公共交通の整備、拡充が大切です。全体として見ると、それが大都市での公害を軽減し、省エネ効果をもたらします。また、地方分散化で長時間通勤する必要がなくなれば、生活環境も向上します。

まさお

2018年10月21日日曜日

都市の駅をハブ化する

 「ハブ空港」ということばがあります。これは、航空網において長距離航空と国内、大陸内航空の乗り継ぎの中核になる空港のことです。

 この「ハブ」ということばを鉄道網の駅につけると、どういう駅になるのでしょうか。乗り継ぎの中核になる拠点駅がまず思い浮かびます。

 ぼくは、8章「交通の未来」の「グリーン電力で走るドイツ鉄道」の項においてドイツ鉄道のカーシェアリングについて紹介しました。ドイツ鉄道は長距離の移動に鉄道を使い、主要駅からカーシェアリングで電気自動車で移動してもらうというサービスを展開しています。

 これは、鉄道と電気自動車を結びつける新しい意味での「ハブ駅」です。これをさらに、大都市内で主要駅をハブ化するとなると、どうなるのでしょうか。

 大都市の電車や地下鉄の駅を降りると、電気自動車のカーシェアリングステーションをはじめとして、電気バイク、電気キックスクーター、自転車のシェアリングステーションがあります。あるいは、小型の乗り合いバス(ライドシェアリング)の拠点もあります。

 都市毎にこれらを予約しておくアプリをスマホにダウンロードしておけば、どこにいっても必要な時に、自動車や自転車などに乗れます。

 こうすれば、大都市の交通が多様化し、大都市を走る自動車の数を減らして渋滞解消効果も生まれます。個人で自動車などを持っている必要もなくなります。

 ドイツ北部の大都市ハンブルク(switchh)では、カーシェアリング会社などと共同で都市交通公社がこうした試みをはじめました。ベルリンでも、試験的にはじめてみることが検討されています。

 都市交通は、早いテンポで変わろうとしています。

まさお

2018年10月14日日曜日

再エネと立役者

 ドイツの再生可能エネルギーといえば、元連邦議会議員のヘルマン•シェーアを忘れることができません。志半ばにして、亡くなられたのはなんといっても残念でなりません。シェーアさんの死は、ドイツの、いや世界の再生可能エネルギーにとって大きな痛手となりました。

 国際エネルギー機関(IEA)に対抗する形で国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の設立に尽力されたのも、シェーアさんでした。

 以前、経産省の知人からドイツの再生可能エネルギーの立役者にヒアリングしたいと聞かれたことがあります。すぐにシェーアさんを挙げたのですが、経産省の官吏が社民党の政治家に会うわけにはいかないと返事がきました。何というやつらだと思いましたが、でもといって押しに押して会ってもらったら、後でたいへん感謝されたことがあります。

 日本の官僚自体が喰わず嫌いで、自国の利益のために働くのではなく、イデオロギーに凝り固まっていることがよくわかりました。

 ドイツでは、シェーアさんだけが再生可能エネルギーの立役者ではありません。各地に、それぞれの地元で再生可能エネルギーを牽引した立役者がいます。

 ドイツ南西部シェーナウでは、日本でもよく知られている市民電力会社のスラーデクさんご夫妻。

 ドイツ北東部のプレンツラウを風力発電の拠点の一つに育てたのは、エネルトラーク社です。その設立者がミュラーさんです。ミュラーさんは元々、東ドイツの原発建設のエンジニアでした。

 南西部のヴェルシュタットに立地する再生可能エネルギーのゼネコンJUWI社は、農民が共同で起業したスタートアップでした。

 ドイツ北西部のパーダーボルン地域では、1990年代中頃から風力発電が活発に拡大されています。その立役者がラックマンさんでした。ラックマンさんは元々は、IT関係のエンジニアでした。

 デンマーク国境沿いのドイツ北端で市民風力発電をはじめたクリスチャンセンさんも、忘れることができません。

 再生可能エネルギーで発電された電気の固定価格買い取り制度(FIT)の原案を考案したのは、ドイツ西部アーヘンの市民たちでした。

 こうした立役者が地元で住民をまとめ、再生可能エネルギーを市民の手で普及させたのでした。

 各地において再生可能エネルギーを市民の手で普及させる。そのためには、各地で市民をまとめて牽引する立役者も、重要な役割を果たします。

まさお

関連サイト:
地道な市民論
エネルギー選択宣言

2018年10月7日日曜日

レアメタルやレアアースによる再エネ攻撃に騙されるな

 最近、ぼくの加入しているMLに、レアメタルやレアアースを使う風力発電を攻撃する記事のリンクが回ってきました。従来通りの発電方法を支援する米国のエネルギー•シンクタンクが拡散しているものでした。

 レアメタルやレアアースを採取する中国において、それによって排出される放射性廃棄物の管理がずさんなので、被害が出ているという内容です。直接風力発電を批判しているわけではありませんが、放射性廃棄物を排出する物質を使う風力発電はいかんといっているのは明らかです。

 リンクの送り主は、この情報は正しいのかと聞いています。

 情報は、間違っていません。風力発電では確かに、レアメタル、レアアースが使われています。その採取によって放射性廃棄物が排出されるのも事実です。

 それなら、風力発電は原子力発電と同じように、止めたほうがいいのでしょうか。

 記事では、記事に書いていないことが問題です。それは、レアメタルやレアアースが他にどういうものに使われているかということです。

 レアメタルやレアアースは、たとえば太陽光発電にも使われます。ハイブリッド車や電気自動車にとっても、とても大切な材料です。省エネランプであるLEDランプにも必要です。これら環境エネルギー技術に欠かせないということです。

 また発電機にも必要なので、発電のすべての分野に使われています。原発では、制御棒に使われ、原発の安全を確保する上でも欠かせません。

 日常生活においても、たとえば液晶テレビやタブレットコンピュータ、スマートフォンなどにもなくてはならないものです。

 こうして見ると、現在使っている技術のほとんどに使われていることがわかります。
 
 ただ問題の記事は風力発電にしか触れず、「放射性廃棄物=悪い」という単純思考から、風力発電はいかんという方向に導こうとしています。

 ここで問題にされている放射性核種が天然放射性核種であることも、はっきり書かれていません。天然放射性核種は地球上に多種あり、これは太陽系が誕生したプロセスを考えると、地球上にあって当然なものなのです。そして、これら放射性核種の半減期はたいへん長いので、崩壊して安定することがありません。つまり、とても長い時間にわたって、放射性物質であり続けるということです。

 原発事故によって発生する核分裂生成物としての放射性物質と違い、天然放射性核種ではぼくたちの被曝量が少ないことも知ってほしいと思います。

 被曝の問題ばかりでなく、レアメタルやレアアースが中国から輸入される割合がとても高く、中国だけに頼っているのはいいことではありません。そのため、材料のリサイクルのほか、代替素材や代替技術の開発も活発に行われています。

 確かに放射性廃棄物が排出され、しっかり管理されていないのは問題です。だからといって、それだけでレアメタルやレアアースを使っているのはすべていかんというわけにはいきません。それでは、現在ぼくたちの恩恵を受けている技術が成り立ちません。

 これは、「放射性廃棄物=悪い」という単純思考で済む問題ではありません。その点をはっきりわきまえて議論しなければなりません。そのことを知ってもらい、自分自身では何かできるかも考えることが必要だと思います。

 ぼくは、フェアフォーンというスマートフォンを使っています。これは、フェアトレード基準に従って製造されたスマートフォンです。ぼくはそれによって、末端労働者が過酷な条件で酷使されていないことを願っています。

まさお

2018年9月23日日曜日

再エネとソーシャル銀行

 今月(2018年9月)、バングラデシュではじまったマイクロファイナンス機関であるグラミン銀行が日本に進出するというニュースが出ていました。

 銀行の創立者ムハマド•ユヌスさんが2006年にノーベル平和賞を受賞したので、日本でも知っている方がいると思います。バングラデシュ農村部などで、生活や教育の質を改善する目的で貧困層を低金利、無担保で少額融資します。借り手が銀行の持ち主になるのも特徴です。

 ドイツでは、このグラマン銀行が再生可能エネルギー普及の手段として早い段階から注目されていました。

 それは、市民に資本力がなくても、再生可能エネルギーを普及させる基盤が市民にあるとの哲学があったからだと思います。そのためには、資本主義活動とは違う形で市民をサポートする手段が必要です。

 ドイツには元々、環境プロジェクトへの融資に特化した環境銀行や社会プロジェクトへの融資に特化したGLS銀行があります。これら銀行は組合銀行になっていて、銀行口座を有する市民などが出資して社員になって、銀行が資金調達します。

 市民一人一人が株主になりますが、出資額に関係なく、社員は誰も同等の投票権を持っています。これが、組合という形態の特徴です。

 ドイツでは、これら組合銀行が再生可能エネルギーの普及でとても重要な役割を果たしています。ドイツの市民電力会社EWSシェーナウも、最初に配電網を買い取る時にGLS銀行から融資を受けました(関連記事)。

 ぼくは、グラミン銀行も含めてこれらの銀行をソーシャル銀行だととらえるべきだと思っています。そこでのキーワードは、市民です。市民が大きな資本で動く経済とは違う形で、資本を共同調達して、共同で経済活動を行っていくことをサポートします。マイクロファイナンスもその一つです。

 市民が今後、再生可能エネルギーなどの分野で大きな力を持っていくには、ソーシャル銀行がとても大切なっていきます。それによって、市民が自力で資本を調達し、市民の自立、自治管理を促します。

まさお

2018年9月9日日曜日

ブロックチェーンは必要?

 ぼくは、サイトにアップした記事「エネルギーとデジタル化」と本ブログの記事「エネルギーの技術革新遅れていいの?」において、ブロックチェーンについて述べました。

 ブロックチェーンがビットコインで使われている高度な技術であり、電気の供給、消費を記録してそれを決算する技術として信頼性があるとされるからです。

 ただ、ぼくは電気の供給と消費に関してブロックチェーンが本当に必要なのかどうか、疑問に思っています。

 というのは、ぼくはこの分野ではまだ勉強不足ですが、電気の供給と消費に関しては、ビットコインのように高速、高度にいちいち細かくデータを把握して決算する必要があるとは思えないからです。供給した量と消費した量の差額を、たとえば月単位で把握できれば十分なはずです。それは、スマートメータで把握しているはずだし、月毎の差額さえわかれば決算できるのではないでしょうか。

 また、ブロックチェーンにはたくさんのサーバー容量が必要で、そのための処理ばかりでなく、サーバーを冷やすために莫大な電気が必要になります。

 省エネしながら、エネルギーをできるだけ効率よく使うことも大切です。この点でも、ブロックチェーンのエネルギー消費の多さを考えると、何でもブロックチェーンでやろうといってしまうことにとても疑問があります。

 エネルギーの分野で本当にブロックチェーンが必要なのかどうか、もっと真剣に議論してほしいと思います。

まさお

2018年8月26日日曜日

エネルギーの技術革新遅れていいの?

 ぼくは7月29日にアップしたブログ記事「日本のエネルギー基本計画は、自殺行為だ」で、既存の電力システムを温存しようとする日本の政策を厳しく批判しました。

 それは、これまでの大規模設備、中央集中型の電力システムでは、将来のエネルギー供給に対応できなくなり、高い電気料金を受け入れざるを得ない日本が世界から取り残されていく心配があるからでした。

 そればかりではありません。

 再エネへのエネルギー転換のために、各国は今、新しい技術開発で競い合っています。ただ新しい技術というのは、それほど正しくないかもしれません。というのは、既存の技術で十分だからです。それをエネルギー供給システムにマッチングさせればいいだけになっています。

 ドイツでは、送電網を安定させるため、送電会社がその中央監視室からボタンひとつで発電設備を送電網から切り離す(解列)ことができます。数年前日本にいた時には、日本ではそれを電話でやっているということを聞きました。それも、実際に切り離す数日前に連絡しなければならないということでした(本文「日本の電力供給システムは遅れている」参照)。

 ぼくは、唖然としました。技術国日本で石器時代のようなことをしていることが理解できませんでした。エネルギー供給システムをデジタル化して、ネットワーク化すれば何でもないことです。その技術は、日本にもあります。この分野では、日本の技術の方がドイツよりも優れているのではないでしょうか。

 それでいて、なぜその技術を使えないのでしょうか。

 それは、既得権益を守るために、既存の電力システムを維持しようとしているからにすぎません。そのために、日本の技術革新力と国際競争力を強化することが、二の次になっています。

 ドイツでは今、再エネのデジタル化、システム化に関する技術が盛んに開発されています。それは再エネの発電量に占める割合が30%を超えて、システム化の需要が増えてきたからです。さらに、技術を実情に合わせて試験できる条件が整ってきたからです。

 ドイツは、第四次産業革命の技術ともいわれ、ものつくりのデジタル化をめざす「インタストリー4.0」とエネルギーのデジタル化を組みわせていく予定です(本文「アクティブな地産地消で余剰電力を消費」参照)。

 現在、昨日サイトにアップした記事「エネルギーとデジタル化」でも述べたように、エネルギーのデジタル化においてビットコインの中核技術であるブロックチェーンがとても重要な技術になるとされています。さらに、エネルギーと「インタストリー4.0」を組み合わせることで、人工知能(AI)の適応範囲がエネルギー供給からものつくりにまで広がります。産業全体の流れが人工知能(AI)によってネットワーク化されるということです。

 ドイツ政府は、人工知能(AI)を今後の国家戦略にします。今の状況をみると、その意図がよくわかります。

 さて、日本はどうするのでしょうか。

まさお

2018年8月19日日曜日

エネルギーを肌で感じる

 エネルギーとは、何でしょうか?

 ぼくは、9章の「エネルギー源は暮らしの中にある」で、「自分の身の回りで里山や里海を見つける」のが大切だと書きました。

 ぼくたちは、光エネルギー(太陽の光)や運動エネルギー(風や川の水)、熱エネルギー(火力、原子力)を電気エネルギーに換えることによって電気を得ています。熱エネルギーを得るための燃料(石炭)は、化学エネルギー(光合成)によってできたものです。

 電気自動車は、電気を運動エネルギーに換えて車を走らせます。自転車は、ペダルを踏んで足の運動エネルギーをチェーンでタイヤに伝えているから走ります。

 こうして見ると、エネルギーというのは中学校で学んだ理科で十分理解できるものです。生活に密着していて、身の回りで使っているものだと感じます。

 これをもっと可視化させて、ゲームをしながらエネルギーを肌で体験する。それが、ドイツ北西部のアウリヒという町にある「エネルギー学習体験センター(EEZ)」のコンセプトではないかと思います。

 設置、運用しているのは、風力発電設備の大手製造メーカ「エネルコン(Enercon)」です。

 最初に、インストラクターがセンターでの遊び方を簡単に説明してくれます。その後、一人一人がエネルギーゲームに挑戦します。一通りやってみるには、3時間ほどかかります。

 最初に小さなステッィクのようなものを渡され、それをゲームをする装置に差し込んで、ゲームで得たポイントを集めます。最後に集計装置にステイックを差し込んで、集めたポイントを見ます。発行キーを押しておくと、出口のカウンターで成績表をプリントアウトしてくれます。

 ぼくは先日、NPO法人アースウォーカズの独日交流プロジェクトで福島県からドイツにきていた高校生9人と一緒にこのセンターにいってきました。

 LEDランプの光だけで、モデル自動車の屋根に取り付けられた太陽電池で発電させ、モデル自動車を動かすゲームがありました。光の角度によっては、モデルはまったく動きません。風で風船を動かして、輪型になったルートを一周させるだけのゲームもあります。風が適切になるように、レバーで風量を調整しなければなりません。滑車を回して木のボールを上に上げ、ボールを設置されたレールの上をころがすゲームもありました。

 そうかと思うと、火力発電所や原子力発電所を太陽光発電や風力発電に替えるには、画面上どの場所に移すのが適切か探し出すゲースもありました。適切な場所を見つけ出すと、どれくらいの発電容量に代わるのかも教えてくれます。画面上で適切な場所を探すのが、とても難しいゲームでした。

 エネルギー変換の関係を結びつけるゲームもあります。光エネルギーを運動エネルギーに換えるものは何か、化学エネルギーに換えるものは何かなど、その関係を見つけます。

 こうして、ゲーム毎に点数を集めます。難しいゲームも、簡単なゲームもあります。どうしていいのかわからなくても、とにかくやってみる。エネルギーとはどういうものなのか、エネルギーのことをもっと知る。それを実際に体験してみます。

 エネルギーが生活に密着したものであることを、肌で感じます。

 子どもも大人も楽しめるエネルギーゲーム。福島県の高校生からは、難しくてよくわからないという声もありました。でも、遊びながらエネルギーに接することができるのはとても大切です。こうした施設がもっとあればいいなと思います。

まさお

EEZサイト:www.eez-aurich.de

2018年8月5日日曜日

交通政策を下から変える

 都市を自動車交通によって窒息させてはならない。

 これが、ベルリンで起こった「Changing Cites」運動のモットーです。運動の中心は、若い世代です。

 公共空間は一体誰のものなのか。公共空間は、自動車や経済活動のためのものではありません。市民は、それに甘んじていてもいけません。市民は、公共空間を市民のものにするために立ち上がるべきだというのが、運動する若い人たちの考えです。

 スマートシティ化。それが、運動の目指すものです。市民が平等に、民主主義的に公共空間を利用できる都市。都市のインフラ整備についても、市民のためのものなのか、市民が監視していかなければなりません。

 そのためには、交通政策の転換も必要です。本来であれば、市民のための交通政策でなければなりません。最近のトレンドである自転車専用道路や交通手段のシェア化だけでは、交通は市民のものになりません。こどもが道路を安全に利用できる権利も守らなければなりません。

 経済を目的とした広告が、都市から撤廃されることも望んでいます。

 こうした市民の都市に対する希望を実現するほか、都市開発において市民側から問題を提起します。そのために住民投票を行って、政治に圧力をかけることもあります。

 また、同じ考えを持つ市民をネットワーク化します。

 「Changing Cites」運動はこうすることによって、道路などの公共空間を市民の対話の場となることを望んでいます。それが、地元の経済力を促進し、都市生活の質を向上させることにもつながります。

 ベルリンではじまった運動は、ドイツ各地に広がっていきました。

 こうした運動が、日本でも起こってほしいと思います。

まさお

参考記事:「バイバイ自動車中心社会

2018年7月29日日曜日

日本のエネルギー基本計画は、自殺行為だ

 日本政府は、「第5次エネルギー基本計画」 を閣議決定しました。

 そこで、再生可能エネルギーの「主力電源化に取り組む」としています。まず、再生可能エネルギーの電源構成に占める割合を、2030年度までに22%から24%にするとしています。

 でも第1章でも書いていますが、日本の場合、約9%は水力発電です。水力発電は確かに自然エネルギーですが、日本のような大型ダムを使った水力発電は再生可能エネルギーではありません。それで、再生可能エネルギーを主力電源にするというのは、矛盾した話です。キャップをかけて、再生可能エネルギーがやたら増えないようにしているとしか思えません。

 もう一つの問題は、2020年から導入される容量市場です。これについては、サイトの「容量市場は必要か?」で書きました。

 ここで見えてくるのは、「主力電源化に取り組む」といっても再生可能エネルギーを主力電源にする気はない、してしまうと逆に困るということです。

 ぼくには、容量市場の導入は、これまでの総括原価方式に代わる新しいメカニズムだとしか思えません。それによって、大手電力会社を存続させ、原子力発電に莫大なお金を無駄に投資してきたこと、さらに原子力発電がやたら高いことを消費者にかわらないようにカモフラージュしているのだと思います。

 その詳細は、サイトを見ていただくことにします。

 ただ、再生可能エネルギーを主力電源にできない日本の事情もわかります。

 再生可能エネルギーが拡大すると、卸電力市場での取引価格が下がります。それは、太陽や風など再生可能エネルギーに限界費用(燃料費など)がないからです。この問題も、第1章で取り上げました。

 ドイツは現在、大手電力会社は再編し、発電事業から撤退する方向にあります。発電では、もう利益を上げることができないからです。ぼくは、再生可能エネルギーについても、将来固定価格買い取り制度がなくなると、そうなると思います。

 でもそうなると、日本では既存の電力市場が存続できません。大手電力会社を存続させるためには、総括原価方式に代わる新しい制度的なサポートが必要になっています。それが、容量市場の導入です。

 日本の地方では、原発に依存する大手電力会社が最大の雇用主です。それが倒れてしまうと、日本の経済、日本社会が成り立ちません。だから、大手電力会社と原発を新しい制度によって人工的に存続させる。それが、今の日本のエネルギー政策なのだと思います。

 でも、世界は再生可能エネルギーへ転換しようとしています。再生可能エネルギーが拡大するとともに、発電コストは限りなく安くなります。そうなると、既存の電力市場構造に依存した日本では、発電コストがやたら高くなってしまいます。

 日本は、伝統的にものつくり大国です。それで、ものつくりが維持できますか。もちろん、できません。再生可能エネルギーへの転換が遅れれば遅れるほど、日本は世界から取り残され、経済競争に負けていきます。

 日本のこの経済構造を換えるためには、長い時間がかかります。国際競争に負けないようにするには、構造改革をできるだけ早く実行して、地方が電力会社に依存しなくていい経済構造に再編しなければなりません。そうしない限り、日本はもう世界の競争に勝てなくなります。

 でも、新しい「第5次エネルギー基本計画」は、電力大手に依存した構想を維持しながら、再生可能エネルギーを徐々に増やすことしか考えていません。日本の将来のことを考えると、それは自殺行為としかいいようがありません。

 それで、いいのでしょうか?

まさお

参考記事:「容量市場は必要か?

2018年7月9日月曜日

再生可能エネルギーQ&A移転のお知らせ

 再生可能エネルギーQ&Aは、これまでこのブログに掲載してきましたが、ベルリン@対話工房のサイトに移転しました。

 今後は、過去の記事も含めてベルリン@対話工房の以下のページで掲載していきます。

 再エネいろはのURLは、以下です。

https://www.taiwakobo.de/neu/eefa/artikel_eefa.htm

まさお

2018年6月23日土曜日

再生可能エネルギーに対する嘘

 ⎡エネルギー選択宣言⎦の第1章で、ぼくは再生可能エネルギーの発電コストが安いことをくどいくらいに説明しました。燃料費はいらないし、メンテナンスもほとんど必要ない。発電設備も小さいので、設備コストは安いし、減価償却期間も短い。

 発電コストが安いのは、当然の話です。

 でも、往々にして再生可能エネルギーは高いといわれます。そこでは、忘れられていることがいろいろあります。

 ひとつ重要なことは、燃料が必要ないので、再生可能エネルギー(特に風力発電と太陽光発電)では、発電量が多くなろうが、少なくなろうが全体の発電コストは変わらないということです。燃料がいらないからです。

 それに対して、火力発電や原子力発電などの従来の発電方法では、発電コストは発電量が多くなればなるほど全体のコストが上がります。それは、それだけ燃料が必要になるからです。

 でも、いくら発電しても全体の発電コストが増えないなら、使うだけ使えるように、需要を増やしたほうがいいのではないですか。その方がずーと得なのは、誰にでもわかると思います。

 それでは、なぜ再生可能エネルギーは高いといわれるのでしょうか。

 それは、再生可能エネルギーで発電できる設備を整備するまでに、お金と時間がかかるからです。それを整備するための施策として、固定価格買い取り制度があります。その制度によって電気を割高に買うことで発電設備を増やしているので、再生可能エネルギーが高くなっているにすぎません。

 それは、再生可能エネルギーがまだ発展段階にあるからです。

 そういう発展段階は、火力発電の時も、原子力発電の時もありました。でも、発展段階にある技術と、定着段階に入ってしまっている技術で、今どっちが高いと比較しては、フェアではありません。発展段階に、お金がかかるのは当然です。

 今もし、再生可能エネルギーで発電する設備が成長して、火力発電と原子力発電で発電できる容量と同じくらいあるとしましょう。そこで、再生可能エネルギーと比べると、火力発電と原子力発電は発電コストが高すぎて、再生可能エネルギーには太刀打ちできません。

 ドイツでは、すでに再生可能エネルギーによる発電量が発電量全体の30%を超え、風力発電の発電コストは、火力や原子力にも負けないようになってきました。

 そうなって困るのは、火力発電と原子力発電で既存権益を得ている電力業界です。

 だから、電力業界はその既得権益を守るために、再生可能エネルギーを増やさないように妨害するのです。

 これが、再生可能エネルギーは高いといわれる嘘のカラクリでもあります。

 それに対抗するには、どうするのか。

 答えはひとつです。再生可能エネルギーを使って、需要をどんどん増やすことです。

 そのためには、市民が再生可能エネルギーで発電された電気を使いたいと声を上げ、再生可能エネルギーで発電された電気を供給してもらう契約を結んでいくしかありません。

 そうすれば、近い将来、電気がとても安いものになります。

まさお

2018年6月18日月曜日

エネルギー相談室は何をするのか?

 ブログでは前回、各地にエネルギー相談室を設置すべきだと書きました。

 それでは、エネルギー相談室は具体的にどういうことをするのでしょうか?

 個人向けには、たとえばソーラーパネルを設置する場合の相談窓口になります。

⁃ 屋根の強度の問題
⁃ ソーラーパネルの種類
⁃ だいたい必要な予算
⁃ 助成金をもらえる条件
⁃ 固定価格買い取り制度で発電した電気を電力会社に買い取ってもらう条件や手続き

などについて情報を提供します。

 また、その他、ソーラー温水器を設置する場合、蓄電池も一緒に装備したい場合にもアドバイスします。また、住宅の断熱効果を上げるためのアドバイス、さらには家庭で省エネする可能性についてもアドバイスします。

 中小企業の場合たとえば、

⁃ ソーラーパネルをつける場合に助成金をもらえる可能性があるのかどうか、
⁃ 企業内で省エネを実現するためにはどうすべきなのか

などについてアドバイスします。

 また、再生可能エネルギーや省エネに関して情報提供するほか、再生可能
エネルギー化、省エネ化を推進するインセンティブを与えるために、ワークショップやセミナーなども開催します。

 こうして、各地域においてエネルギーに関する意識を高めていくのもたいへん大切な課題です。

 こうしたことが、エネルギー相談室が行うべき事例だと思います。

まさお

2018年6月10日日曜日

各地にエネルギー相談室を!

 ぼくは、これまでドイツのシュタットヴェルケについて何回か報告してきました。

 シュタットヴェルケは基本的に、自治体の公営会社として電気、熱、ガス、水道などを供給する公益事業を行なっています。都市鉄道、バス、トラム、地下鉄などの公共交通事業も一緒に行なっているシュタットヴェルケもあります。

 ただ、90年代に自治体の財政難で、民営化されてしまったところも結構あります。

 そのシュタットヴェルケが、日本でも注目を集めているといいます。再生可能エネルギーによってエネルギー転換する手段として注目されているようです。

 ここで、注意しないといけないのは、単に電気を供給するだけのシュタットヴェルケでは機能しないということです。ドイツでも、大都市の大きなシュタットヴェルケは、一般家庭と産業向けの電気と熱の供給を行なっています。そのほうが、効率よくエネルギーを利用できるからで、地域で効率よくエネルギーを利用するためのシステム開発もシュタットヴェルケの重要な役割になっています。

 地域によっては、再生可能エネルギー化のためにシュタットヴェルケへの住民参加を促進しているところもあります。

 実は、日本でもドイツのシュタットヴェルケのような自治体エネルギー公社がありました。でも日本では、電力市場が大手電力9社によって地域毎に棲み分けされてしまいました。ドイツの場合は、大手電力が発電と高圧送電を行い、シュタットヴェルケが地元での発電と配電を行なうことで棲み分けされていました。それが、シュタットヴェルケが残った要因だと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケで一番重要な点は、独自に発電しているというよりも、配電網、地域熱源供給網、ガス配管網を持って生活の一番近いところでエネルギーを供給する役割を果たしていることだと思います。それ故に、ドイツの住民はどのエネルギーを選択するのか、大手電力の経済権力に強制されることなく、自分の判断で使うエネルギーを決定することができます。その点で、シュタットヴェルケがとても重要な役割を果たしてきたと思います。

 ドイツのシュタットヴェルケが日本で注目されているのは、歓迎すべきことだと思います。でもそれが、日本でも実現できるか、またはすべきかについて議論するのとは、違う問題だと思います。

 ドイツにはドイツの事情が、日本には日本の事情があります。ドイツのシュタットヴェルケには、ドイツ特有の歴史、背景があることを忘れてはなりません。

 また、シュタットヴェルケを新しく設置するのは、自治体に大きな財政負担となります。そのための専門の人材も必要ですが、日本ではまず人材育成からはじめなければなりません。県庁職員や自治体職員の天下りでは、うまくいきません。

 シュタットヴェルケという箱をつくっても、その中身をどうやって埋めるのかも考えないと意味がないということです。

 エネルギー転換において重要なのは、最終消費者である住民がどのエネルギーを使うのか選択しやすくることです。そのためには、配電網を住民のものとするか、公営化するか、配電網に公共性を持たることが必要です。そのためには、特にシュタットヴェルケが必要であるとは思えません。

 日本でまず必要なのはむしろ、住民など最終消費者に最も近いところで、たとえば住宅を新築する場合やソーラーパネルを設置する場合などにおいて、エネルギー問題についてアドバイスできる「エネルギー相談室」のようなものではないかと、ぼくは思います。

 ドイツでも、エネルギーエージェント(Energieagentur)というエネルギー相談機関が国、州、自治体のレベルに設置され、住民の近いところでエネルギーに関して住民や中小企業をアドバイスしています。

 こういう組織をまず、自治体レベルで日本各地に設置していくべきだと思います。設置に当っては、各地にある既存の環境NPO法人などを「エネルギー相談室」の窓口となるように支援していくのがいいのではないかと思います。そして、それをネットワーク化していきます。

 まず小さくはじめて、次第にネットワーク化で大きなものに育てていくということです。

 その後に、シュタットヴェルケのようなものが必要かどうか、考えてもいいのではないと思います。

まさお

シュタットヴェルケ関連記事:
地域熱源で熱を供給する(ベルリン@対話工房)
都市電力公社もバイオガス発電(ベルリン@対話工房)
シュタットヴェルケはエネルギー総合企業(エネルギー選択宣言ブログ)
ドイツでは、電源を明らかにして電力の商品価値を高めた(エネルギー選択宣言)
エネルギー自治を目指す市民(エネルギー選択宣言)
配電網が重要(エネルギー選択宣言)
プラスエネルギーハウスを地域へと拡大させる(エネルギー選択宣言)

2018年6月3日日曜日

これからは、住民が発電事業者だ

 ドイツでは今年3月、電力最大手のEon社とRWE社が一部合併、吸収することで、Eon社が配電とエネルギー供給システム、RWE社が従来の発電方法と再生可能エネルギーによる発電と、棲み分けされることになります(詳しくは、ベルリン@対話工房の記事「ドイツ電力大手が再々編」を参照)。

 両社では、脱原発、エネルギー転換が進み、火力など従来の発電方法ではもうビジネスが成り立たなくなっています。そのため、両社は2016年に火力や水力など従来の発電方法から再生可能エネルギーを切り離してリストラしたばかりでした。それが、2年もしないうちにまたリストラしなければ、電力大手が生き残れなくなっているということです。

 ドイツのエネルギー転換は現在、再生可能エネルギーによる発電が発電全体の30%以上を占め、電気、熱、動力燃料のエネルギーを連携して再生可能エネルギーによって安定的に、効率よく供給するためのシステムを開発する段階に入っています。

 その意味で、最大手のEon社がシステムサービスに特化していくのはよくわかります。

 再生可能エネルギーによる発電においても、ドイツは昨年2017年から固定価格買取り制度(FIT制度)において、電気の買取り価格を入札で決めて発電施設の建設権を与える制度をはじめています。その状況については、ぼくのベルリン@対話工房のサイトで連載していますので(全体で5回ほどの予定)、そちらを参照してください(「ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ」)。

 昨年の入札の結果、風力発電で最も安く買取り価格を提示した落札額は、電気1kWh当り2セント余りです。日本円にして3円ほどにしかなりません。今ソーラーパネルもかなり安くなってきていますので、太陽光発電の発電コストも1kWh当り6セントくらい(8円余り)にまで下がっています。

 再生可能エネルギーによる発電では、燃料コストやメンテナンスコストがほとんどありません。そのため、発電施設を建設する時の投資額が、発電コストの大半を占めるにすぎません。発電施設の設備費は、これからさらに下がっていくことが予想されます。それでは、再生可能エネルギーにおいても発電で利益を上げることができなくなっていくことが予想されます。

 それでは再生可能エネルギーが普及しなくなりますので、再生可能エネルギーに投資するインセンティブを与えているのがFIT制度です。ただそれでは、再生可能エネルギーを助成する負担が増えるだけなので、そのFIT制度と入札制度を組み合わせて再生可能エネルギーに競争原理をもたらそうというのが入札制度導入の目論見です。でもそれによって、再生可能エネルギーではエネルギーコストが安いという本来の現実がよりはっきりしてきます。

 でもここでは依然として、発電した電気を送電網に送って売電するという方法を前提としています。発電、送電、配電、販売を行なう従来型の電力ビジネスを基盤にしているにすぎません。

 でもソーラーパネルがすでに安くなっているほか、家庭用の蓄電池も次第に価格が下がってきました。今後、ソーラーパネルと蓄電池(電気自動車の蓄電池を家庭用に併用してもいい)をセットにして設置すれば、家庭内で安く、簡単に安定して自家発電、自家消費できるようになります。また集合住宅においても、ドイツでは共同でセーラーパネルを設置して共同消費する傾向が出てきています。そうなると、電力会社から電気を供給してもらう住民は益々減っていきます。

 住民は電気自家発電消費して、余った電気を売るだけになります。こうして、住民がみんな発電事業者になるのはそう遠いことではありません。

 そうなると、発電、送電をベースとした従来の発電ビジネスはもう成り立ちません。ドイツでは現在、それがもう見えてきたと思います。

まさお

2018年3月31日土曜日

デジタル化は電気の食いしん坊

 これまであまりはっきり認識されていないのが、グーグルやフェイスブック、ヤフーなどIT産業の電気消費量がとても多いということではないでしょうか。サーバーなどのあるデータ処理センターでは、IT機器が四六時中稼働しています。これら機器が過熱しては稼働しなくなるので、IT機器を冷やすためにクーラーもフル稼働しています。

 こうして見るだけでも、データ処理センターではたくさんの電気が消費されていることがわかります。

 社会がデジタル化すればするほど、電気消費量が莫大に増加していくことが予想されます。デジタル化は、IT産業の電気消費を莫大に引き上げ、電気の食いしん坊にさせていきます。従来の産業では、アルミ産業が電気を最も大量に消費していました。しかし、IT産業がいかに電気を必要とするかを考えると、IT産業の電気需要はアルミ産業の電気需要を超えていくことが予想されます。

 この多量なIT産業の電気需要に対して、IT産業はどう対応しようとしているのでしょうか。

 グーグルなどIT産業は、再生可能エネルギーへの投資を拡大し、電気を再生可能エネルギーで供給しようとしています。再生可能エネルギーは一般的に高いといわれていますが、それはどうしてなのでしょうか。

 答えは、簡単です。

 再生可能エネルギーは燃料を必要としません。そのため、発電コストは燃料価格に影響されません。再生可能エネルギーの発電コストは、その結果安定しています。また再生可能エネルギーの分野では、今後学習効果や投資の拡大などがより期待されるので、発電コストが益々下がっていくことが予想されます。

 それに対して、火力発電や原子力発電で発電コストが安くなっているのは、発電設備が古くて減価償却されているからにすぎません。発電設備の老朽化が今後さらに進むと、新しい発電設備が必要となります。しかし、これら大型設備を建設するには莫大な投資が必要です。それによって発電コストが引き上がります。さらに、燃料費が今後益々上がっていくので、これら従来の発電方法では今後発電コストが上がっていくばかりです。

 こうした状況を見れば、明らかです。デジタル化進めば進むほど、電気の大口消費者となるIT産業は、安い再生可能エネルギーに依存しなければならなくなります。

 これまで日本では、再生可能エネルギーは高いとしわいわれていません。でも国際的には、IT産業を見ればわかるようにそうではありません。

 この現実をよく知ってもらいたいと思います。

まさお

2018年2月4日日曜日

電気スクーターをシェア

第8章「交通の未来」では、交通が将来どうなるのか、簡単なスケッチをしてみたところがあります。一つが、電気自動車によるカーシェアリングでした。その他、無人の小型バスによって公共交通が利用者中心に大幅に改革される可能性についても述べました。

 実際、ベルリンでは今年春から、ベルリン公共交通公社と自動車大手のダイムラーが共同で小型バスによる相乗りタクシーをはじめます。これは、携帯電話のアプリを使って同じ方向にいく乗客を集客し、小型バスで輸送するという新しい交通システムです。

 現在の公共交通とタクシーを合わせたようなサービスで、Ride Sharingと呼ばれます。自動車は当初、まだ電気式を使用しないが、いずれ電気自動車化を進めるとしています。ベルリンにはすでに、電気自動車だけで同じ方法ですが、独自に開発したアプリで相乗りタクシーを運行しているClever Shuttleというサービスもあります。

 また、電気スクーターのシェアリング・サービスEmmyも登場しています(記事一番上の写真)。アプリをダウンロードして会員になれば、アプリで最寄りに駐車されている電気スクーターを探して乗ります。使った後は、ベルリンの環状線都市線内であればどこに乗り捨ててもかまいません。一旦降りてまた使いたい場合は、休憩モードにしておくこともできます。料金は、1分単位か走行距離1km単位で支払います。

 Emmyを立ち上げたのは学生のスタートアップで、ベルリンのような大都市からは自動車を排除してしまいたいとの夢を持っています。

 Emmyのサイトは以下です。英語サイトもあり。
 https://emmy-sharing.de/

まさお

2018年1月21日日曜日

食品を廃棄から救うアプリ

 余ったり、売れ残った食料品が無駄に捨てられるだけになっている状況から、ドイツではそれを回収してバイオガス発電に使っていることを第4章で書きました(記事「残飯でガスをつくる」)。ただそれに対して、売れ残った食料品をホームレスなどに供給する運動をしている市民団体があることも書きました。

 また同じ記事では、売れ残りのパンを販売するセカンドハンド専門のパン屋や売れ残りのパンを燃料にしてパンを焼いているパン屋さんがあることも書きました。さらにこのブログでは、スーパーの売れ残り食品を販売するセカンドハンドスーパーがあることも紹介しました(記事「セカンドハンドの食品を販売」)。

 今ドイツではさらに、「Too Good To Go」というアプリが普及しはじめています。これは、デンマークのスタートアップが開発したもので、レストランなどで余った食品を格安で消費者に仲介するマッチングアプリです。レストラン側はアプリに登録して余った食品情報をアプリに提供します。アプリを使う消費者側はアプリで余り食品情報を得て、そこから自分で食べたい食品を選択して、アプリで支払って決算します。

 後は、決められた時間に注文したレストランに食品を取りにいくだけ。レストランの場合は、閉店1時間前などです。食品がボックスに入れられてピックアップされるのを待っています。たとえばベルリンでは、食品ボックス1つは食品にもよりますが、だいたい3ユーロ(約500円に相当)くらいだといいます。

 アプリに登録しているのは、レストラン、カフェ、パン屋さんなど。アプリはまだヨーロッパでしか普及していないようですが、食品をいかに無駄にしないか。それについても消費者側も自分で考え、どうするのがいいか自分で実行したいと思います。

 ドイツのサイトは以下です。
 https://toogoodtogo.de/

まさお

2018年1月13日土曜日

ドイツの再生可能エネルギーは宗教のおかげ?

 ぼくのドイツ人の友人に、放射線防護問題に詳しい友人がいます。その友人を訪ねた時でした。先日、日本のドキュメンタリー映画の女性監督がインタビューにきたというのです。映画監督は、ドイツの脱原発、再生可能エネルギーの普及について取材しているということでした。

 インタビューの主なテーマは最終処分問題だったようです。でも、ドイツでなぜこう再生可能エネルギーが普及してきたのかという質問もあって、それはドイツ人の宗教観からきていないだろうかと聞かれたそうです。ドイツでこれだけ再生可能エネルギーが普及してきているのに、なぜ日本では進まないのか。その違いがどころからきているのか、それを追求してみたいというのが質問の背景だということでした。

 ぼくの友人は困ってしまいました。思ってもみなかったし、考えてもみなかった質問にどう答えていいかわかりません。友人の連れ合いの女性が哲学などに詳しいので、その女性がいろいろ助け舟を出してくれました。その場は、それで何とか終えたということでした。簡単にいえば、まあそういうところもあるかもしれないけれど、よくわからないが彼らが答えた結論でした。

 でも二人の本音は、そんなことはないと思っていると、ぼくに明かしてくれました。なぜそういう質問をされたのかもわからないといっていました。

 二人は今度、それについてどう思うか、ぼくに聞いてきました。ぼくにとっても、それは思ってもみなかった質問でした。

 再生可能エネルギーと宗教。うーむ。

 確かに昨年2017年がルターの宗教改革600年だったとはいえ、再生可能エネルギーを進めたいという気持ちと宗教を結び付けるのはとても意外でした。無理がないだろうか、といわざるを得ませんでした。

 再生可能エネルギーという自然なものを求めることが宗教観に通じるところがあるのか。それなら、自然に対する思いは西洋人のドイツ人よりは、日本人のほうが自然との調和にもっと強い思いを持っていないでしょうか。

 600年前の宗教改革は、上から宗教を押し付けられるのではなく、市民自身が宗教に対する意識にめざめたのでした。そうして、自分のための宗教になったのでした。それが、市民社会への社会改革へとつながっていきます。市民の意識改革であったともいえます。

 ぼくは、そこに再生可能エネルギーとつながるところがあると思います。

 再生可能エネルギーは発電設備が小型で、それを分散化、ネットワーク化させて使うことに意義があります。そこに、一般市民自らがエネルギーの供給、利用に関わる可能性が生まれます。だから、ドイツでは再生可能エネルギーへの投資の60%が一般市民によるものです。

 市民が大手電力会社にどういうエネルギーを使うのか強制されるのではなく、自分で使いたいエネルギーを自分で選ぶ。自分で発電する。再生可能エネルギーは、その可能性を市民に与えてくれます。市民はそれによって、エネルギーを利用することにおいて、自立できるのです。

 これは、エネルギーに対する市民意識を改革し、エネルギー自治を実現して、エネルギーにおいて経済権力から解放される一つの方法となります。

 ぼくはドイツ市民社会に、エネルギーを自分たちのものにしたい、しなければならないという意識があると感じます。それが、ドイツでここまで再生可能エネルギーを普及させてこれた一つの大きな要因だと思います。

 それは、「エネルギー選択宣言」で伝えたかったことでもあります。

まさお